EPAで自己申告制度を利用する場合、原産品申告書は、貨物が協定上の原産品であることを示すために使用する書類です。原産地証明手続や原産品申告書の作成方法はEPAによって異なります。一方で、多くの情報が入り交じっており、整理が難しいテーマでもあります。本記事では、原産品申告書の概要、原産地証明の方法、原産品申告書の様式について解説します。日々の貿易業務にお役立てください。
原産品申告書について
原産品申告書の概要、自己申告制度を利用できる主なEPA、原産地証明書との違いについて解説します。
原産品申告書とは?
原産品申告書は、自己申告制度を利用する際に、貨物がEPA上の原産品であることを申告するための書類です。協定によって作成できる者は異なり、輸出者、生産者または輸入者が作成します。(注1
- 輸出者・生産者による自己申告
- 輸入者による自己申告
日本への輸入時に輸入者自己申告を利用する場合は、原産品申告書に加え、原産品申告明細書や関係書類の提出が必要です。(注2
なお、日本への輸入では、課税価格の総額が20万円以下の産品については、原則として原産品申告書等の提出が免除されます。(注1
自己申告制度を利用できる主なEPA
日本から輸出する場合、輸出者・生産者による自己申告制度を利用できるのは、日豪協定、CPTPP、日EU協定、日英協定、RCEP協定(豪州、ニュージーランド、韓国仕向け)です。日米貿易協定では、輸入者による自己申告のみが採用されています。(注1
原産品申告書と原産地証明書の違い
EPAの原産地証明手続は、「第三者証明制度」「認定輸出者制度」「自己申告制度」の3つに大別されます。原産品申告書は自己申告制度で作成する書類で、原産地証明書は第三者証明制度で輸出国の権限ある発給機関が発給します。利用できる制度はEPAごとに異なります。(注1
原産地証明書の必要性や利用条件、発給申請手順について詳しく知りたい方は、「原産地証明書とは?必要性・利用条件・発給申請手順について解説」からご覧ください。
自己申告制度を利用して日本から輸出する流れ
ここでは、自己申告制度を利用して日本から輸出する場合の基本的な確認手順を紹介します。EPAごとに原産地証明手続や必要的記載事項は異なります。(注1
HSコード、EPA税率、原産地規則を確認し、原産性を判定することが基本となります。(注3
輸出する産品のHSコードを確認
まず輸出しようとする産品の6桁ベースのHSコード(関税分類番号)を確認します。HSコードの6桁は世界共通ですが、各国の関税番号の7桁目以降(統計細分)は国ごとに異なります。
また、協定によって採用しているHSコードの改訂年次が異なる場合があるため、注意が必要です。HSコードは輸入者を通じて輸入国税関に問い合わせるか、日本国内にある最寄りの税関にお問い合わせください。(注4(注5
EPA税率の有無や税率を確認
日本貿易振興機構(JETRO)のサイトに含まれる「世界各国の関税率(WorldTariff)」で、HSコードごとにEPA税率の有無や税率を確認できます。日本の居住者は登録が必要ですが、無料で利用できます。(注6
輸出する相手国の原産地規則を確認
原産地規則は、物品の原産地を決めるためのルールです。協定により規則が異なるため、必ず各協定を確認することが重要です。(注7
輸出する産品が原産地規則を満たしているかを判定
原産地規則に基づいた原産資格を有していること(原産性)を確認します。(注7
原産品申告書を作成・提出
原産性を確認した後、利用するEPAの必要的記載事項に沿って原産品申告書を作成します。様式や記載方法はEPAによって異なります。作成した原産品申告書は、輸入者が輸入国でEPA税率の適用を受けるための手続に使用します。(注1
原産品申告書の様式
原産品申告書の様式や必要的記載事項はEPAごとに異なります。日豪協定、CPTPP、RCEP協定では任意様式ですが、各協定で定められた必要的記載事項を記載する必要があります。日EU協定・日英協定で輸出者・生産者が自己申告する場合は、インボイス等の商業上の文書に所定の「原産地に関する申告文」を記載します。(注1
フォーマットのダウンロードについては、「原産地証明に用いられる証明書発給申請用紙・原産品申告書フォーマット」からご確認ください。
不備のある原産品申告書の取扱い
税関により、取扱方法が公開されています。 原則として、記載事項漏れなどの不備がないことが求められます。
- 原産品申告書の真正性に係る事項(作成者、作成年月日等)の不備は、原則として無効
- 申告貨物との同一性に係る事項(輸出者名、輸入者名、仕入書番号等)の不備は、他の書類で同一性が確認できれば有効
- 貨物の原産性に係る事項(特恵基準、HS番号等)の不備は、原則として無効
ただし、他の書類等により原産品であることが明らかで、その不備が原産品申告書の真正性や記載内容の正確性に影響しないと認められる場合は、有効として取り扱われることがあります。(注8
原産品申告書に関するQ&A
原産品申告書に関連して、よく見られるQ&Aをご紹介します。
Q1:日・オーストラリアEPAにおいては自己申告制度と第三者証明制度のどちらを利用するのがよいですか?
A:どちらの制度を利用する場合でも、通関時に原産性の審査が行われるため、一概にどちらの制度の方が迅速に通関できるとはいえません。利便に応じて、利用者側の判断で選択してください。(注9
Q2:原産品申告書等の作成を輸入者に代わって通関業者が代行できますか?
A:輸入者から提供された情報が十分であれば、通関業者が代行して作成することは可能です。(注9
Q3:日EU・EPAにおいて、第三者証明に用いられる原産地証明書を原産品申告書の代わりに提出できますか?
A:日EU・EPAでは、輸出者または生産者、輸入者が自ら作成した原産品申告書を提出する必要があり、第三者が発給した原産地証明書を代わりに提出することはできません。(注9
FTA/EPAをさらに深く理解しサプライチェーンを最適化するには
各協定に基づく書類を作成する際は、対象となる協定の原産地規則を確認することが不可欠です。しかし、原産地規則や必要な手続きは協定ごとに異なり、改正される場合もあるため、最新情報を確認する必要があります。
これらの業務を手作業で行うと、膨大な時間と労力を要し、改正への対応も難しくなります。管理業務を効率化し、サプライチェーンを最適化するために、管理ソフトウェアやガイドブックを活用することをお勧めします。
トムソン・ロイターの「ONESOURCE FTA管理ソフトウェア」を活用すれば、サプライヤー証明書や原産地規則の管理などの自動化をサポートし、FTA/EPA管理業務プロセスの効率を高められます。デモをご依頼の方は、以下のページからお申し込みください。
またFTAを自社のサプライチェーン最適化に向けた戦略として活用するためには、FTAに関する理解を深めることが重要です。FTAの最適化手順について詳しく知りたい方は、以下のリンクからガイドブック(無料)をダウンロードしてください。
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APACグローバル・バリューチェーン(GVC)統合の原動力となるRCEP
参考情報
注1:よくある質問―EPAの自己申告制度を利用した日本からの輸出について―|税関
注3:EPAの自己申告制度を利用した日本からの輸出について|税関
注4:輸出産品のHSコードを確認する|EPAに基づく特定原産地証明書発給事業|日本商工会議所