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CPTPP原産地証明書の6つの特徴とは?原産品の判定基準についても解説

CPTPP協定に参加する国々と貿易を行う際に、原産地規則で規定された原産性を満たすことで、関税の削減メリットを享受できます。原産性を満たしていることを、輸入国側の税関に証明する書類が原産地証明書です。

各EPA/FTAによって制度が異なることから、本記事ではCPTPPにおける原産地証明書の6つの特徴や原産品の判定基準について解説します。また材料の調達国や取引経路を分析することで、最適なFTAを判断できるONESOURCE FTA Analyzerについても紹介しますので、貿易実務に従事されている方はぜひ参考にしてください。

原産地制度は自己申告(自己証明)のみを採用

CPTPPの原産地証明書は、自己申告(自己証明)による証明のみが採用されています。自己申告制度は、輸出者(生産者)または輸入者自らが原産地証明書を作成するものであり、国による認定は不要です。


日本における発効済みFTAのほとんどで、原産地証明書の種類は「第三者証明制度」による特定原産地証明書が採用されてきました。第三者証明制度とは、輸出産品がEPAに基づく原産品であるかを第三者機関が判定し、特定原産地証明書を発給する制度です。日本においては、日本商工会議所が経済産業大臣による指定発給機関であり、2カ国・地域間FTA・EPAやRCEPで利用されています。(注1

国による指定発給機関に頼らず自らが発行する場合、書類の不備が気になるところですが、原産性の基準やHSコードの不備があると、原産地証明書が無効になる恐れがあります。そこでHSコード管理の課題を解決し、正確な製品分類をサポートするソリューションの利用をおすすめします。

詳しくは、下記リンクよりご確認いただけます。

CPTPP原産地証明書の6つの特徴

ここではCPTPP原産地証明書の6つの特徴を、下記の通りまとめました。

特徴特徴の概要根拠規定
自己申告の方法輸出者、生産者、輸入者のいずれかが原産地申告書を作成する3.20条1
自己申告の書式必要的記載事項についての規定はあるが、所定の書式やフォームはない(下記の記載事項のいずれかが抜けていると無効になる)1.証明者は誰か2.証明者の情報3.輸出者(証明者ではない場合)の情報4.生産者(証明者あるいは輸出者ではない場合)の情報5.輸入者(判明している場合)の情報6.産品の品名及びHSコード7.原産性の基準8.対象期間9.署名と日付、宣誓文附属書3-B
使用する言語原産地証明書は英語による作成を原則とする英語以外の言語で作成された場合には、輸入国側は自国言語による翻訳文の提出を要求できる3.20条6
輸入国税関による輸出者・生産者への検認輸入国税関が、輸出者・生産者に対して検認を行う3.27条1、2
証明書類の保管義務下記より最低5年間は保存義務を負う・輸出者または生産者が書類を作成した日から・輸入者は輸入の日から3.26条1、2
輸入後の特恵関税適用の遡及申請特恵関税適用の資格を有していれば、輸入から原則1年以内は事後申告により納付済みの関税の還付を受けられる3.29条1

出典:地域・分析レポート|日本貿易振興機構

CPTPPにおける原産品の判定基準

CPTTPでは、締約国内を仮想的な1つの領域とみなしており、原産地規則は複数の域内国で満たせば良いことになっている点がポイントです。他のEPA同様、下記の判定基準を満たす産品は、CPTPPの協定原産品とみなされます。

  1. 完全生産品
  2. 原産材料のみから生産される産品
  3. 品目別原産地規則 (PSR)を満たす産品

ここでは、特に品目別原産地規則(PSR)を満たす産品の判定方法と、複数のCPTPP域内国で生産・加工する際の規定について見ていきましょう。

PSRを満たす産品の判定方法

メーカーであれば、非締約国の原産材料を使用して産品を製造することもあるでしょう。非原産材料を使用していても、締約国において加工する過程で、当該材料に実質的な変更があった場合には、その最終産品をCPTPP原産品と認めるルールがPSRです。

判定方法1:関税分類変更基準

非原産材料と最終産品のHSコードの間に特定の変更が見られる場合に、CPTPP原産品と認める基準です。例えば非締約国のオリーブ(第07.09項)から、CPTPP締約国でオリーブオイル(第15.09項)を製造すると、HS上2桁レベルでの変更(類の変更基準)に該当し、CPTPP原産品と認められます。

判定方法2:付加価値基準

非原産材料に対し、域内で産品に一定以上の付加価値が付与されていれば、CPTPP原産品と認める基準です。例えば車体の鉄鋼製品等を非締約国より輸入し、日本で当該材料をもとに乗用自動車を製造すると付加価値が生まれます。

産品の価値10,000米ドルに対して、8,000米ドルの付加価値が付与されていれば、産品の価額に対して付加価値は55%以上です。この場合、乗用自動車はRVC(域内原産割合)を満たしたことになるために、CPTPP原産品と認められます。

判定方法3:加工工程基準

非原産材料に対し、特定の加工がなされた産品を、CPTPP原産品と認める基準です。例えばプロピレンを非締約国から輸入し、日本においてグリセリン(2905.45号)を製造すると、加工工程基準の1つである「材料が化学反応の工程を経ている」ことから、CPTPP原産品と認められます。

ただし、判定方法1であるHSコード上6桁レベルでの変更(号の変更基準) との選択制となっている点に留意が必要です。(注2、(注3、(注4

域内の複数国で生産・加工する際の判定方法

ここでは、累積と積送基準などのルールについて見ていきましょう。

累積

CPTPPに代表される広域EPAを利用する最大のメリットは、原産地規則における累積効果が大きいことです。CPTPPでは最終産品の原産性の判定時に、他の域内国の原産品も原産材料として扱えるほか、非原産材料に付与された付加価値や関税分類変更基準で判断される生産工程の足し上げを認める完全累積制度を採用しています。

積送基準など補足的なルール

CPTPPの原産地規則では、原産品を輸送する際に守るべき積送基準があります。その他にも、再製造品、附属品等が付いた産品、他の産品とセットで輸出される産品など、原産性判定の補足的なルールが定められているので確認しておく必要があります。

CPTPPの事前教示制度

事前教示制度は、英語ではAdvanced Rulingsと呼ばれ、自国の輸入者、あるいは他の締約国の輸出者・生産者からの問い合わせに対して、CPTPP締約国が書面で回答する制度です。書面で照会した後、最長でも150日以内には回答を得られ、その回答は最低3年間有効とされています。

締約国の税関に問い合わせして、確認できる内容は次の通りです。

  1. 関税分類
  2. 特定の事案の関税評価基準の適用について
  3. 原産性の判定
  4. 締約国が決定するその他の事項

事前教示制度を利用し、税関の審査を経て原産品であるとの回答が返ってきた場合には、輸入申告時に原産品であることを明らかにする書類の提出を省略可能です。なお輸入(納税)申告書に、当該回答書の番号の記載を忘れないよう注意することが重要です。(注1、(注5

まとめ:輸入から1年以内は、CPTPP税率適用の遡及申請が可能

CPTPPの優遇税率を適用するためには、輸入品がCPTPPに基づく関税削減や撤廃の対象品目である必要があります。その上で、原産地基準を満たし「原産品」として認められ、税関に対して原産地証明書や必要に応じて運送要件証明書などを提出するなどの手続きが必要になります。

適用の条件を満たしていれば、輸入から1年以内であればCPTPP税率適用を遡及申請できるので、CPTPP利用を検討されてはいかがでしょう。

ONESOURCE FTA Analyzer

原産地規則は各EPA/FTAによって異なるために証明手続きが複雑であり、関税率によっては時間的な制約を考慮する必要があります。そこで複雑さやコンプライアンスリスク、手続きにかかるコストを軽減するためには、FTA分析・管理プロセスを一元化かつ自動化したソリューションの導入がおすすめです。

トムソン・ロイターが提供するONESOURCE FTA Analyzerについて、詳しくは下記リンクからご確認いただけます。

参考資料

注1:TPP11解説書|日本貿易振興機構

注2:TPP11(CPTPP)及び日EU・EPA原産地規則について【概要】(2019年1月)|東京税関

注3:TPP11(CPTPP)及び日EU・EPA原産地規則について【実務編】(2019年2月)|東京税関

注4:TPP11(CPTPP)原産地規則について(2018年11月・12月)|財務省関税局・税関

注5:「自己申告制度」利用の手引き~CPTPP~|財務省関税局

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