ESG債、国際的に通じる認証制度の構築目指す=中島金融庁長官

金融庁の中島淳一長官は4日、ロイターのインタビューに応じ、環境に配慮していると称する金融債の精査を強化することで、「グリーンウォッシュ」(環境に配慮しているように装い、消費者に誤解を与えること)の取り締まりを厳格化すると述べました。これは、世界各国の規制当局が投資家をグリーンウォッシュから守ろうとしている中で先月就任したばかりの中島長官による意見表明といえるでしょう。

「環境、社会、ガバナンス(ESG)関連債の適格性を担保するための認証制度の構築が必要です。この取り組みは本年度の最優先事項のひとつと捉えています」と述べ、さらに、「認証制度は、国際的に通用する水準でなければならない」とも加えました。

ESGをアピールしたファンドへの資金流入が急増するなか、金融庁は資産運用会社が開示するESGデータの信頼性や比較可能性の欠如を懸念しています。環境省がまとめたデータによると、注目のESG関連債の一つとして注目されているグリーンボンドの2020年の発行額は、世界全体で2,901億ドルに達しました。日本企業がESG関連債を発行する際には、格付投資情報センター(R&I)や日本格付研究所(JCR)といった民間の格付け機関から認証を受けることが一般的です。

中島長官は、顧客保護の観点から「正式なESG関連債として発行するために、別の機関が追加認証を行う必要がある」とも述べています。

(記事 梅川崇、和田崇彦)

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