日本は統合ライセンス制度で、オンラインビジネスの新規参入を促進 

日本の規制当局は、使い勝手の良い金融サービスや、レジャーや娯楽、サービス業界などの分野に関連した金融商品を販売するFinTech企業を対象に、昨年11月に統合ライセンス制度を導入しました。この新しい規制は、投資家保護のための保護措置を維持しつつ、運営コストを削減することで、新規参入事業に恩恵をもたらすものと考えられています。 

背景 

海外旅行保険、少額融資、簡単な支払いなど、基本的な金融サービスを提供するオンラインビジネスがパンデミックを機に人気が高まり、急増しています。これらのサービスには、金融機関が運営しているものもありますが、独立した企業や技術系のベンチャー企業によるものもあり、金融機関に適用されるあらゆる規制要件を満たすのに苦労することもあります。 

金融規制当局は、個人消費者の保護と、市場におけるイノベーションの促進とのバランスを考慮しなければなりません。

香港、シンガポール当局は慎重な対応

香港のような地域では、投資家保護に重点が置かれており、新規参入の金融機関に対してより厳格な規制を課す方向にあります。 証券先物取引委員会(SFC)は、FinTechセクターのためにオプトインのサンドボックスを設けていますが、テクノロジーベンチャー企業が提供する複雑な金融商品に市場を開放することには慎重な姿勢を示しています。また、香港保険局は、金融機関やオンライン保険会社が保険商品を販売するためのライセンス要件を遵守しているかどうかを注意深く監視しています。 

同様に、シンガポールでは、シンガポール金融管理局(MAS)や貸金業登録機関(Registrar of Moneylenders)など、複数の規制当局がFinTechやインシュアテックサービスの活動の監督に積極的に取り組んでいます。また、個人データ保護委員会を中心に、データプライバシーに関するビジネス慣行への関心が高まっています。 

日本の新しいライセンス制度 

日本の規制当局は、金融サービスを提供するオンラインサービスプロバイダーに対し、従来とは異なるアプローチで合理的な規制構造を構築しています。 

統合されたライセンス制度と簡素化された報告要件を含むこの新しい枠組みは、高リスクで複雑な商品を扱う金融サービスプロバイダーと同レベルのコンプライアンス負担を事業者に課すことなく、規制当局に一定の監視機能を与えることを目的としています。 

2020年6月、規制当局は「金融商品の販売等に関する法律」の改正により、銀行、証券、保険などの金融サービスを提供する仲介業者に単一の登録制度を導入し、2021年11月に施行されました。 

日本では金融サービスを提供する際、業種(銀行法、金融商品取引法、保険業法等)ごとの規制が存在し、仲介しようとする分野に応じて複数の事業者登録等が必要です。新制度の登録者は「金融サービス仲介業」として複数の業種で金融サービスを提供できるようになり、不動産や旅行アプリなど、基本的な金融サービスを提供するテクノロジー企業にとって、コンプライアンスの負担や規制緩和につながることが期待されます。 

「金融サービス仲介業」の特徴

この制度に登録するために、企業は習熟度やコンプライアンス要件などを満たす必要があります。ライセンス取得後も、各事業年度終了後3ヵ月以内に規制当局に年次事業報告書を提出しなければなりません。 

「金融サービス仲介業」 には対象商品に制限があり、対象となるのは、銀行業務や預金・融資などの単純な金融商品・サービスに限定され、デリバティブや外貨預金などの高度な金融商品は対象外となります。 

さらに、「金融サービス仲介業者」は、主要な金融機関に所属する必要はなく、複数のブローカー・ディーラーからサービスを提供することができます。投資家保護を目的とした制限が適用され、個人消費者にサービスを提供する前に、金融規制当局に保証金を預けることが求められます。この保証金は投資家保護関の観点から、潜在的な罰則を引き受けるためのものです。 

この制度は、より複雑な金融ニーズに対応するFinTecとは異なり、デジタル化された個人向けサービスを提供する新規ビジネスの成長を促進するものです。 

懸念事項 

日本の「金融サービス仲介業」 に対する統合ライセンス制度は、適格なFinTechとは異なり、企業のコンプライアンスの負担を軽減することが期待されています。 

新たな要件は規制を大幅に簡素化しますが、コンプライアンス義務を完全になくすものではありません。それどころか逆に、企業は、に適用される行為、記録保持、年次報告の要件を遵守するためのリソースと内部統制を確保しなければなりません。 

また、ライセンスを受けた「金融サービス仲介業」 として活動することを計画している企業は、施行の初期段階における規制の不確実性にも備えておく必要があります。ライセンスの対象となる取引や金融商品の範囲については、線引きが複雑であり、詳細について規制当局からまだ開示されていません。 

企業は、このライセンスの下で消費者に提供できる金融サービスや商品の範囲を検討する際に、その点に留意する必要があります。 



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