FTA

企業が輸入貨物にかかる関税を節減する方法 

今日のグローバル市場において、出発地から目的地までの貨物をタイムリーに管理することはもちろん、サプライチェーンに関わるすべての国の規制要件、行政手続き、一般的な法律を遵守する必要があることは、国際貿易に関わる誰もが認識していることと思います。コンプライアンスとは、一般に「法令遵守」であり、今後もサプライチェーンを適切に運営する上での重要な要素です。仮に規制を無視した場合、厳しい罰則が課せられ貨物の遅延、法的責任、風評被害、さらには取引権限の喪失といったリスクを負う可能性があります。 

しかし、今日のグローバル企業においては、コンプライアンスだけが価値の基準ではありません。 

競争力のある企業は今、貿易管理戦略において、より積極的にコスト効率に優れ、大幅な節約を可能にするプログラムを活用しその範囲を広げています。 

輸入貨物の関税を削減する3つの方法 

グローバルサプライチェーンを最大限に活用し、利益の最大化、競合他社に対する優位性を確立する方法は数多くあります。ここでは、広くグローバルに活用できる方法2つと、ベトナム市場に特化した方法、合わせて3つの自由貿易協定(FTA)、関税分類、輸出加工区(EPZ)に焦点を当て解説しいきます。 

1. 自由貿易協定:2つ以上の国の間で締結される協定、貿易障壁を低くし、締結国・地域の間での自由な貿易を促進することを目的としています。関税撤廃プログラムは世界中に存在するため、コスト削減の方法として最も認知されていると言えるでしょう。全体的な協定と通達は急激に増えています。最も新しいFTAの1つである地域包括的経済連携(RCEP)は、アジア太平洋地域をカバーし、2020年に発効したもので、過去最大の協定であり、推定2兆4千億米ドル(約321兆円)を対象としています。 

自由貿易協定(FTA)を利用したコスト削減方法とは? 

これらのFTAプログラムを活用することで、企業は各協定に基づく規則に従い、対象となる商品の関税支払いを削減、延期、または撤廃することが可能となります。また、他国からの構成材料を(混合、製造、組み立てにより)国内原産とみなされる完成品に変えることができる場合もあります。 

ONESOURCE FTA Managementでは、FTA管理を通じて最適なコスト削減の実現をサポートします。 

2. 関税分類:関税分類とは、関税を適用するために輸出入品にHS(Harmonised System)番号を割り当 てることを指します。貿易統計情報に利用する国もあり、国を問わず国境を越えるすべての物品は、HS(またはHarmonised System)コードとよばれるグローバルコードを使用して申告する必要があります。HSコードの構造にはそのコードに関連する関税率も含まれており、支払うべき関税を決定するために使用されます。 

関税分類を工夫する方法とは? 

先進的な企業の場合、製品を作る時点で評価し、さらに有利な関税率を可能にする製品を作るためにタリフエンジニアリング手法に取り組むことができます。適切な分析を行えば、数パーセントのポイントが数百万にもなる可能性もあります。 

ONESOURCE Global Classificationで適切な分析を行い、有利な関税率を特定しましょう。 

3. 輸出加工区:ベトナムの輸出加工区は、港付近の地域に多くの場合存在し、あらゆる規模の輸出入業者が、関税、税金、手数料を減免して商品の出し入れが可能になる特区です。企業や団体が申請し、ベトナム政府が承認した地域で、ベトナムの税関領域内には存在しない特区が設けられています。 

輸出加工区プログラムはベトナムのみですが、アメリカなど他の国にも同様のプログラム(外国貿易ゾーンなど)があります。 

輸出加工区(EPZ)を利用したコスト削減方法とは?

さらに、EPZによって企業は経費管理が可能になります。例えば、海外やその他の非関税地域から原材料を輸入し、輸出国や他の輸出加工区への輸出関税を免除する輸出加工企業(EPE)の場合、最初の2年間の免税を含む適用VAT率0%と法人所得税(CIT)、次の4年間は17%の税率を50%減少させる恩恵を享受できます。また、まだ利益を上げていない企業は、最初の期間に最大3年間の免税を追加することができます。さらには、企業を建設するための建設資材、文房具、食料品等を国内から購入し、社員に提供が可能です。 

ONESOURCE Vietnam CFRはコスト削減しながらコンプライアンス維持をサポートします。 

HSや様々な適用条件を分析し、適切な費用削減を実現するためには、HSコードや原産国、製造方法に関する規定はもちろんのこと、貿易レーンを横断する製品の流れをマッピングし、製品、貿易レーンごとに利用可能なFTAを特定することが必要です。 

そして、数十からあるいは数百の異なる国の関税、コード、規則で何千もの変更が発生する可能性もあります。この作業を社内で行うか、あるいは第三者のコンサルタントにアウトソーシングする必要があります。いずれにしても膨大な費用がかかりROIが低下します。時間、情報の入手、労働力の制約から、企業は優遇措置を申請しないことを選択し、費用削減をあきらめる判断を下すことが多くあります。 

このように機会を逃さないために、ROI(投資収益率)を把握することは、運用や管理の負担を軽減するために重要です。トレードレーンを比較し、関税、税金、手数料の負担や陸揚げコストの合計を算出することで、次のステップを予測し計画することができます。さまざまな多国間FTAをモデル化することで、どのプログラムが最も大きな利益をもたらすか、またどの製品についてかを正しく判断することができます。また、データをレポート化することで「もしもの時」のシナリオを活用し、将来のコストや自社への影響を予測することができます。 

競争力のある企業は、豊富な世界の情報を提供する分析ソフトウェアツールを使用しています。FTA適合性の評価や関税削減の機会など、コスト削減の機会を見極めることができます。 

適切なツールがあれば適切な判断が可能になり、既存の関税削減を利用できるだけでなく、変化するグローバル市場で競争力を維持するために重要なことなのです。 

その他の情報については、以下の国際貿易管理のレポート等をご参照ください。 

ブログ : 規制や企業の圧力が高まる今、サプライチェーンの可視化は重要課題 

レポート : 必要な貿易管理スキルの激変に対応するには  

レポート : 米中緊張と2023年の越境ビジネスリスク 

レポート:グローバルトレード2022:激動の貿易環境をテクノロジーで管理する 


FTA管理に新ツール
FTA Analyzer誕生

複雑なFTA・EPA管理とビジネスチャンスの創出を強力にバックアップ

世界中の企業がサプライチェーンの多様化に取り組んでいますが、関税戦略の最適化や見直しに苦慮しています。RCEPのような新たなEPA/FTAが発効するたびに、関税の最適化はより複雑になり、コスト削減の機会を見極めることが困難になっています。

原産地規則には、膨大な品目について独自の認定規則や特例があり、輸入者は、EPA/FTAによる減税効果を享受するために原産地情報や証明についてサプライヤーやその他の第三者に頼らざるを得ません。関税率によっては、品目が特定の日付範囲内に輸入されることを必要とするなど、時間的な制約を組み込んでいる場合があります。その複雑さゆえに、企業はEPA/FTAの活用を十分にできていません。

企業は、複雑さやリスクを軽減し、コスト削減を実現するために、信頼性が高く自動化されたプロセスを導入する必要があります。 

効果的な意思決定で、コンプライアンス向上とコスト削減を実現

ONESOURCE® FTA Analyzerは、最適化された意思決定・分析ツールで、お客様の取引データに基づき、どの調達国、取引経路、貿易協定が最も有利な費用対効果をもたらすかを詳細に示すレポートを提供します。

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