トムソン・ロイターでは定期的に、専門家を対象に生成AIの活用状況を把握するための調査を実施しています。2025年5月に日本語版を発表した「専門家サービスにおける生成AIレポート2025〜戦略的活用の次のステップに向けて〜」では、グローバルな視点から世界8か国(米国、カナダ、英国、オーストラリア、ブラジル、ニュージーランド、アルゼンチン、メキシコ)における法務・税務などの専門サービス分野における生成AIの導入状況や課題、今後の展望をまとめました。
上記レポートの日本企業法務版と位置付けられる本レポート「専門家サービスにおける生成AIレポート2025(日本の企業法務部門版)」の作成にあたっては、「日本企業の法務部門における業務課題とAI活用の実態」をテーマに、国内の企業法務を対象に、生成AIが法務業務にどのように活用されているか、現状や課題、今後の展望などを独自に調査しました。「専門家サービスにおける生成AIレポート2025〜戦略的活用の次のステップに向けて〜」と同様の質問をすることで、グローバルと日本の現状を比較することも可能となっています。
調査の要点(一部抜粋)
- オペレーショナル課題と期待される生成AIの役割:法務部門が抱えるオペレーショナル課題としては、「業務量の増加に対するリソース不足」(73%)、「定型的・反復的な業務(契約書レビュー、文書作成等)に時間がかかる」(64%)、「ナレッジや過去事例の蓄積・共有が不十分」(54%)が上位を占めました。生成AIに期待する成果としては、「時間の節約または作業プロセスの合理化」(92%)、「効率性・生産性の向上」(90%)、「定型的な低レベルのタスクの支援または自動化」(76%)が圧倒的に高く、これらの課題解決に生成AIが貢献するという強い認識が伺えます。
- 生成AIに対する高い認識と受容度:日本の企業法務担当者の圧倒的多数(95%)が、生成AIを自社の法務部門の業務に「適用できる」と回答しており、これはグローバル調査の90%を上回る結果です。さらに、「適用すべきだ」と回答した割合も92%に達し(グローバル調査の「企業法務」セクションでは57%)、日本企業法務部門が生成AIの導入に非常に前向きであることが示されています。生成AIの未来について「期待している」(56%)または「関心がある」(64%)と回答した割合が合わせて95%に上り、これはグローバル調査の回答(56%)と比較しても非常に高い水準です。
- 生成AIツールの積極的な導入と活用:「既に組織全体で生成AIを使用している」と回答した企業法務部門は日本において81%に上り、グローバル調査における企業の法務による回答(23%)と比較して非常に高い普及率を示しています。また、「使用するか検討している」が7%、「使用する予定である」が5%と、全体の93%が生成AIの導入に前向きである一方、「今のところ使用する予定はない」はわずか7%でした。利用しているツールは「ChatGPT等のオープンソース」が55%で最も多く、次いで「自社独自システム内の生成AI」が48%、「業界固有の有料ソリューション」が32%と、多様なツールが活用されています。複数のツールを組み合わせて活用するケースは約30%を占めました。主なユースケースとしては、「文書の要約」(69%)、「メール文章のドラフト」(57%)、「文書レビュー」(55%)、「法的調査」(55%)が上位を占めています。これらは法務コア業務の効率化を強く意識した活用が主流であることが示唆されます。
- ROI測定とポリシー・トレーニングの課題:生成AIツールの投資利益率(ROI)を「測定している」と回答した日本の法務部門はわずか3%に留まり、74%が「測定していない」と回答。ROI測定の実施状況はグローバル調査の企業法務部門(「測定している」が20%)と比較して低い水準にあります。職場で生成AIを使用する際のポリシーについては、「ある(AIとデータに特化)」が71%、と、グローバル調査の企業法務部門(37%)を大幅に上回ります。社内での生成AIトレーニング実施状況は「ある」が42%に留まり、「ない」が46%と、導入・ポリシー策定に比べてトレーニングが追いついていない現状が浮き彫りになりました。
このレポートの調査では、日本の企業法務部門の実務責任者・決裁者を対象に、アンケート調査により回答を収集しました。調査は、2025 年7 月から9 月の間に59人の回答者を対象に実施されました。
ぜひ、レポートをダウンロードのうえ、調査結果の詳細をご確認ください。