2017年のトランプ政権誕生をきっかけに鮮明化した米中対立。それが昨今ではより深刻化し、欧米や日本を中心とする西側諸国と中国のデカップリングにまで発展していることは周知の通りです。
また、こうした変化と連動して「経済安全保障」の名のもとに既存・新設の法令による規制が強化され、中国の特定企業との取引や技術領域での共同開発等が停滞するなど、経済界にも不確実さが広がり、それが常態化するまでになっています。
今日のような不確定要素が多い世界情勢と経済の有り様は、米中両国との経済上の密接な繋がりを持つ多くの日本企業にとって、難しい舵取りを迫る環境を生み出していると言えるでしょう。
さらに、経済安全保障の強化を最重要施策の一つとする岸田政権の誕生などの動きを受け、日本企業においては、その重要性については十分に理解しつつも、「今後、経済安全保障の観点からどのような実務対応が求められるのか」と、まだ見えてこない具体的な対応方法に関する不安にも繋がっているところです。
このような先読みができない状況の中であったとしても、経済界における2022年ホットトピックが経済安全保障であることは間違いありません。
そこで、トムソン・ロイターとウエストロー・ジャパンは2021年夏、TMI総合法律事務所のパートナー弁護士 白石和泰氏と上野一英氏をお招きし、「もう見ないふり・棚上げなどでは切り抜けられない! 経済安全保障の最新動向と日本企業に求められる実務対応の道しるべ~欧米と中国との対立の先鋭化を踏まえて~」と題して、経済安全保障に関する背景を紐解き、法令の体系・概要について俯瞰して把握するウェビナーをいち早く開催しました。
本稿はそのウェビナーの内容を基礎としつつも、最新の動向を反映させたレポートです。