リモート環境で企業はナレッジシェアの限界に達したか?

ハイブリッドやリモートワークの環境を活用することで、部門、リーダー、スタッフの企業内のナレッジシェア(スタッフ内でその知識を共有すること)において、どのように働き、協同するかに変化がみられます。

知識の習得をテクノロジーではなく、職場内の知識や組織の共有情報に頼っていた業界は、コロナ禍で、部門、リーダー、個人がどのように団結して協力し、さらには企業内の情報共有を拡大するかを再考する必要がありました。ビジネス目標を確実に達成し、実現するためにハイブリッドやリモートワークの環境下で、マルチタスク、チームワーク、ビデオエチケット、プレゼンテーションスキルなどの従業員の能力を再定義しています。

リモートワークは、従業員の福利厚生や仕事への満足度を向上させ、人材供給源を確保し、長期間にわたりインフラ関連のコストを削減できると報告されています。しかし一方で、これらの成功の陰には、従業員の孤立や職場文化の悪化、企業のナレッジシェアの制限を招いていることも立証されています。

ハイブリッドやリモートワーク環境下でよく問題にされるのが、「欠落感」です。コーヒーミーティングや即席の意見交換のような対面での交流が失われることで、帰属意識や企業の目的意識が薄れてしまうのです。このような非公式なナレッジシェアは、信頼によって培う親密な関係性が前提になります。言い換えれば、私たちが普段接している人たちは、私たちが時間や空間を共有し、そこから学びたいと思う人たちなのです。


限界を感じるのではなく、今こそ、ナレッジシェアがイノベーションの中心であると位置づけられる時なのです


では、知識の習得以上に、知識の共有をすることで成功してきた企業においては、実際にどのようなことを考慮すべきなのでしょうか。

企業のナレッジシェアが限界に達しているのではなく(企業がITシステムによるナレッジシェアの向上に大きく注目しているにもかかわらず)、ナレッジシェアはイノベーションの中心だと位置づけられる時期が来ています。

企業のナレッジシェアの多くの場合は経験に基づいており、文書化された(明示的)知識よりも文書化されていない(暗黙的)知識が多くを占めていることを理解し、リモートワークによって明らかになった脆弱な共有関係を改善するのは、日常業務、ワークフローや構造に埋め込まれたナレッジシェア行動を改善することです。よりマトリックス化された部門横断的なチームアプローチを作成するために、チーム内に含まれる関係ネットワークを通じてナレッジシェアの発展に投資し、強化している企業は、そこで得た知識を社内の様々な場面へ広げるために積極的にコミュニケーションを行っていきます。

この方法は、個人の目標や特性として、共通認識を持つネットワークを形成することになります。これはまた、単にチームの近さだけでなく、よりナレッジシェアシステムへと組織を導くものです。

ナレッジシェアの向上

ナレッジシェアの行動と成果を改善するための効果的なモデルは、大学や企業で研究されています。これらの研究は一貫して、ナレッジシェア思考の育成、共有しやすいスペースや方法の作成、価値が異なる組織への適応、および共有プロセスの形式化に焦点を当てています。

企業のナレッジシェアの取り組みを改善する方法はいくつかありますが、その多くは、この取り組みを成功させるために、人を中心とすることを重視しています。従業員は、社会的なつながりを通じて、自分自身を知識の貢献者として認識しています、このような考え方を企業は最大限に活用するのです。実際、この考え方をより成長させる為には、次のような方法があります。

1.チーム報告会や学習の機会、非公式のソーシャルネットワークを通じて、自己肯定感を高め、誰もが共有すべき貴重な知識を持っていることを認識する
社員は、社会的なつながりが成功の重要な鍵として信じています。

2.ナレッジシェアの為に社内教育の機会を作る
プロジェクトチームや組織的な参加を通じて、部門間を跨る学習の強化につながると考えています。

3.定期的に知識を共有できるようにする
一貫した習慣、目的意識、貢献意識を形成することができます。

4.チームは知識の集合体であることを意識する
 問題の特定や解決の為に定期的に連絡することがプロセスの改善改革につながります。

組織のナレッジシェアは、今やテクノロジーの限界を超えて進化しています。企業は、社員の知識や経験をどのように認識し、評価するかによって、ナレッジシェアが組織の中核的価値であり、限界がないものであるという認識をさらに理解することができるのです。


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