プラクティス・イノベーションズ : 法務ルーチンワーク削減のための新ツールの活用

法務部門には自動化が価値をもたらす業務プロセスがあり、法務機能の合理化を支援するテクノロジーによって、企業の労働力と業務の両方にメリットをもたらします。

多くの専門サービス業がそうであるように、法律家もまた、多くのルーチンワークに悩まされています。法律、規制、その他の要件により、これらの作業を避けることはできません。しかし、先進的な技術によって、こうしたプロセスを合理化したり、排除したりすることができます。

そして法務部門の効率化を推進するために、すでにいくつかの取り組みが行われています。

アプリケーションプログラミングインターフェイス(API)を利用したシステム統合が、法務業務に与える影響が大きくなっていることは、画期的な改善点と言えるでしょう。システム間でデータを交換したり、別のアプリケーションでデータを表示したり(例えば、TeamsやSharepoint経由でiManageドキュメントを表示)すればするほど、データの再入力やアプリケーション間の切り替えに費やす時間が少なくなります。

もう一つは、ワークフロー技術です。テクノロジーやサービスの分野では以前から存在していましたが、現在では多くの企業がこのサービスを提供するプラットフォームや、法律事務所が独自のワークフローを構築できるノーコードまたはローコードプロバイダーを提供し、法務分野での存在感が増しています。この技術の主な用途としては、訴訟受付プロセス、訴訟プロセスでの案件管理、クライアントレポートの作成、クライアントの電子請求プロセスの自動化などが挙げられます。

ここでは、自動化とプロセス改善の有力な候補となる3つの主要な法務機能について詳しく見ていきましょう。

1.裁判所への提出書類の処理の自動化

電子出願通知(NEFまたはECFと呼ばれる)の電子メールによる処理を合理化することは、手動または単調なタスクの特定し、定められた業務にプロセスフロー技術を使用する素晴らしい例です。提出された文書へのアクセスとダウンロード、文書管理システムへの保存、ケースチームと処理センターへの通知コピーの配布は、すべて自動化が可能です。

データによると、この作業は通常、電子メールによる通知1通あたり8~20分かかり、中断があるため実際の時間はもっとかかることが多いようです。この業務を自動化すれば、州裁判所や連邦裁判所の通知を処理し、提出された書類を弁護士の手元にタイムリーに届けることができ、数十時間も時間を短縮することが可能です。

この分野では、裁判所から弁論趣意書インデックス、裁判所から訴訟チームへの提出物を、1分以内に取得する裁判所通知プロセスの自動化を提供するサービスが既に存在しています。これらのAPIやプロセス自動化ワークフローを手作業で行う日常的な作業に適用することで、スタッフの効率向上、文書保存時のミス防止、遅延に伴うリスクの低減、手作業では管理が困難なプロセスの可視化などを実現することができます。ある法律事務所では、最近10万通目の裁判所通知を処理しましたが、このプロセスを自動化することで、13,500時間のスタッフ時間を節約できたと計算しています。

2. ドキュメント作成とデータ収集の改善

法律業界では、長年にわたりコラボレーションシステムのメリットを享受してきました。また、文書作成業務を強化する新しいシステムやツールを構築するためのノーコードまたはローコードのアプローチもあります。法務担当者がプログラマーを介することなく、必要なデータを収集し、必要な成果物である最終文書を自動的に生成するシステムを構築することがでるようになり、このような業務の生産性はさらに加速しています。

法律事務所がクライアントと一緒に情報収集や書類作成をする回数を想像してみてください。遺言書や秘密保持契約書などの一般的な法的文書は、ほとんどの弁護士が熟知しており、その利点を概念化することができる成果物です。その他にも、宣誓証言のサマリー、現場検証レポート、現地弁護士の最新情報など、さまざまな種類の文書で自動化のメリットを享受することができます。

この分野のイノベーションを推進する企業の1つであるキム・テクノロジーズ社のCEO、カール・チャップマン氏は、「Meet Users Where They Areの精神は、既存または新規の文書の自動化の速度を速め、これらのプロセスフローに関するリアルタイム追跡とリマインダー送信を容易にします」と述べています。

つまり、法律文書をウェブベースのフォームに変換し、ビジネスパートナーがそれを入力すると、自動的に最終的な文書が生成されるという、この種のシステムの価値を見事に裏付けているのです。さらに、このプロセスではエンタープライズ検索、一括ダウンロード、API統合による完全なデータ分析が可能で、通常このような作業に費やされる大量の管理時間を根絶することができます。

3. タイムエントリー機能、財務分析機能の強化

業務時間の入力は、法律業界で最も古い管理業務の一つです。時間の10分の1が把握されないと、10%が請求されないことになるので、法律事務所の成否に関わる重要な要素です。しかし、ほとんどの弁護士は管理業務を行うことを嫌うため、毎週の時間を把握するために直前まで待つ人がいても不思議ではありません。残念ながら、週や月の終わりまで待つと、請求可能な業務を忘れてしまうことになります。

そのため、時間入力の自動化は魅力的な機能です。自動時間入力機能を利用して、弁護士が行ったすべての作業を記録することで、すべての時間を確実に把握することができます。最新の時間管理ソリューションは、電子メール、電話、文書、ウェブ調査など、弁護士が日常的に使用するツールにもれなく接続し、業務時間を反映します。実際、自動タイムキャプチャには2つの明確な利点があります。

i) すべての時間が自動的に取得される

ii) 作業者は入力を完了し保存するだけでよい

ビッグハンド社の財務生産性ソフトウェア担当兼副社長であるロッド・ウィッテンバーグ氏は言います。「平均的なタスクが30分で、各弁護士が1日に7時間請求すると仮定して考えてみましょう。その結果、当然ながら、毎日入力すべきタスクは14個になります。そして、タスクを終了し次のタスクに移るまでの時間入力が完了するまでに1分かかるとします。これを四捨五入して15分とすると、年間3,600分もの時間をシステムに取り込むための事務作業に費やしていることになります。もし、システムがこの時間を自動的に取得できれば、すべてのタイムキーパーの管理負担を大幅に軽減することができます」

全体として、企業は時間の損失がもたらす膨大な影響と、裁判所への提出、文書作成、時間入力などの特定のプロセスを自動化することの価値を理解する必要があるのです。法律事務所の経営者は、弁護士の仕事と生活の効率と効果を改善したいと考えています。法律事務所内における環境の質を向上し、より良い財務管理体制を構築するために、手動のルーチンワークを自動化することは大きな価値をもたらすでしょう。


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