タタ・コンサルタンシー・サービシズ社の税務責任者が語る、ビジネスの将来 

この2年間、多くの企業が中長期の戦略より短期的な対応を優先したことで、世界のGDPは低下し、産業界は予測不可能かつ不確実な要素に支配されていました。 2022年は世界経済やパンデミックをめぐる懸念にもかかわらず、楽観主義が復活しつつあり、上向きの兆しを見せているのは頼もしい限りです。 

タタ・コンサルタンシー・サービシズ社(TCS)の国際税務責任者であるレヌ・ナルヴェカール氏は、2022年は「単なる回復ではなく、加速とイノベーションの年」になると予測しています。 レヌ氏は、2200億ドル規模のコンサルタント企業、タタ・コンサルタンシー・サービシズ社(TCS)の国際税務責任者として、素晴らしい資格と経歴を有し、ご活躍されています。2022年の軌道、顧客重視の戦略、将来の女性リーダーのロールモデルとなることについて、お話をうかがいました。 

成長産業として期待されるのは、IT、自動車、インフラ、FinTechなどの分野で、2023年にはインドが最も成長率の高い経済国になると予想されています。 

テクノロジーが創り出す未来 

IT業界は、最新テクノロジーやデジタルトランスフォーメーションにおける機会拡大により、成長の道を切り開くでしょう。「パンデミックで変化した顧客ニーズに対応するために、テクノロジーの導入が加速しました。IT 主導でなかった産業も、手作業からデジタルへと移行が進みました」 

TCSは、クラウド、AI、ブロックチェーンなど多様な分野の成長イニシアティブを活用し、顧客にインパクトのあるソリューションを提供し、業界の底上げに貢献しています。このトレンドはあらゆる業界で見られますが、テクノロジー分野に特に注力しています。「これは新たなビジネスモデルであり、ボーダーレスな価値創造やビッグデータに対応する新たな税法が生み出されるでしょう。」 

テクノロジーと税務機能 

グローバル化、複雑な税法が進む環境のなかで、透明性の高いシステムが必要とされていることから、税務におけるテクノロジーの導入は「あればいいというより、なくてはならないもの」になっているとレヌ氏は語ります。「クリックひとつで、必要な情報がすべて手に入るのです」。 

「テクノロジーを活用することで、効率性を高め、リスク管理を改善することができ、その結果、税務部門の変革を実現できます。業務を自動化することでコンプライアンスに費やす時間を減らすことができ、企業の競争力を高め、より広い組織に戦略的価値を提供する、よりパフォーマンスの高い税務部門を生み出すことができるのです。」

税務を取り巻く環境がますます複雑になるにつれ、より専門的な人材のニーズも高まっています。税務の専門スキルは重要ですが、それだけでは、もはや対応できません。税務責任者は、ITの訓練などを受け、そのスキルを様々な税務プロセスの改善やデータ活用に適用できるように、税務専門技術者を育成し、人材を補完する必要があります。 

顧客中心主義と社会的使命

「お客様を第一に考え、優れた価値を提供し、お客様の体験を向上させる」ことがTCSのミッションです。「顧客中心主義は、戦略であると同時に文化でもあるのです」。TCSのビジネスは、お客様のビジネス目標を達成するために総合的なソリューションを提供し、分野横断的なコラボレーションを可能にする構造になっています。 

TCSはまた、より広い世界に影響を与える顧客の社会的使命を支援することに注力しています。GEヘルスケアはロックダウン時にTCSと提携し、人工呼吸器の設定を自動化しました。結果としてパンデミックの際に、必要な増産が可能となり、ひっ迫する医療需要に対応することができました。また、医療の現場で苦しみを和らげ、より多くの命を救うことに貢献しました。 

男性社会?! 

レヌ氏は「状況は良い方向に変わってきている」と感じています。「現代の働き盛りの女性は、昔に比べて自信を持っていますし、メンター制度や職場のロールモデルとなるようなパワフルな女性もいます」。常時40〜60億ドル相当の税収を管理するレヌ氏は、特筆すべきロールモデルです。財務オペレーション分野でキャリアを目指す女性に対するアドバイスは、「自分自身と自分の能力を信じ、前向きでプロアクティブな考え方を持つこと」と語りました。もちろん、決意と熱意も必要です。 

著者:カラン・バトラ 

トムソン・ロイター 戦略アカウントディレクター兼シェアードサービスセンターアジア太平洋地域・日本・新興市場担当リード 

トムソン・ロイターのAPAC、日本、新興市場における戦略的アカウントの事業責任者であり、シェアードサービス部門のリージョナルリーダーです。コンテンツに対応したソリューションを活用し、顧客のオペレーションモデルの変革や将来のデジタル目標の達成を支援する役割を担っています。ロイター、そしてトムソン・ロイターのコンテンツ、テクノロジー、オペレーション組織で最初の8年間を過ごし、既存のグローバルCOEをインドなどの戦略的拠点に拡大し、30億ドル以上の顧客ビジネスをサポートするとともに、25%の業務コスト削減を実現するという重要な任務を担っています。 


ONESOUECE BEPS Action Manager

BEPS関連の法整備が進む日本で税務調査リスクを軽減するには、税務ガバナンスと管理を確立して、精査に耐える報告書を提出することが唯一の手段です。

トムソン・ロイターのBEPS ACTION Managerは、税務書類と報告書の作成にかつてないレベルの透明性をもたらします。この透明性は世界中の税務当局の新たなベンチマークとなります。


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