サプライチェーン・デューデリジェンス における実践事例

貿易業務担当者にとって、サプライチェーン・デューデリジェンスはリスクを軽減し、規制遵守、サプライチェーンの柔軟性を高めることによって自社のブランド毀損を防ぐための重要な方法の一つです。

しかし複雑なサプライチェーンにおいて適切なデューデリジェンスを維持することは容易ではありません。時間、労力、専門知識、テクノロジーを必要とし、常に継続、更新し続けることが必要です。サプライチェーンの各層と各段階で何が起きているかを理解することへの重要性が高まっており、サプライチェーン・デューデリジェンス自体も急激に変化しています。

サプライチェーン・デューデリジェンスの重要性が高まるいくつかの重要な要因

・ 2022年6月、米国は ウイグル強制労働防止法の施行を開始し、中華人民共和国新疆ウイグル自治区で全てまたは一部を採掘、生産、製造された、あるいは特定の組織によって生産されたあらゆる商品、製品、物品の輸入は1930年関税法第307条によって禁止され、当該商品、製品、物品は米国への輸入が認められません。

・ ロシア・ウクライナ問題に端を発した制裁措置は刻々と変化しており、企業は常に制裁対象リストを監視し、サプライチェーンの各段階で取引先を制裁対象リストや 禁輸対象国と照合することが必要となっています。

・ 環境・社会・ガバナンス(ESG)経営原則の採用が進み、特に環境影響と労働者搾取の分野において企業はサプライチェーンを「持続可能」かつ「責任ある」方法で管理することが求められています。

・ 継続的な規制の変更、コロナ禍、ブレグジット、ロシア・ウクライナ紛争、輸送上の課題、気候変動に関連した不確実性、また、サプライチェーンのグローバル化、統合化などの様々な問題が考えられます。

可視化への挑戦

可視性、透明性、情報は効果的なデューデリジェンスの鍵となりますがサプライチェーンの責任者にとって最大の課題でもあります。

例えば、同じ取引先と何年も一緒に仕事をしていて、その取引先のサブサプライヤーやコントラクターが誰なのかを知る必要があるとします。しかし、その取引先は情報を提示できない(しない)という場合、その取引先は単に情報をすべて持っておらず、収集する能力もない可能性もあります。しかし、その主要取引先が法律を遵守しておらず、自己防衛のために情報を隠している可能性もあります。

問題は、その主要取引先が必要で代替手段がない時です。どうすればいいのでしょうか?

残念なことにデューデリジェンスに対して真剣に取り組もうとしても、様々な理由により阻まれることがよく起こります。魔法のような解決策はありません。しかし、いくつかの最善な方法により少なくともサプライチェーンの透明性を高めるという目標に近づくことができます。

サプライチェーン・デューデリジェンスの最適な実施に向けて

1.「できること」「やっていること」が何であれ、それを示す監査証跡が文書化されていることを確認することです。信頼できる取引業者やリスクの低い輸出入業者であっても、政府は「信頼するが検証せよ」という立場をとっており、方針、手順、統制が十分に文書化されていることを求めています。

2.ソフトウェアを評価する:特に中堅・大企業の場合、最先端のサプライチェーン・デューデリジェンスを実施するために、適切な技術ツールとそのトレーニングを受けた人材が必要です。しかし、これらは一度に準備する必要はありません。

例えば、サプライチェーンが比較的小規模の企業であれば、政府の無料ウェブサイトを検索して、規制対象や制裁リストに適用される可能性を調べることができます。しかし、手作業での検索は面倒で時間がかかるため、サプライヤーの数が多くなるとすぐに対応できなくなります。

またERPをお持ちの場合、DPSデータをERPに統合することが可能なため、DPS(Denied Party Screening)ソフトウェアに別途投資する必要がない場合もあります。またERPによってはスクリーニング、コンプライアンス、輸出入管理、ソーシング、その他のサプライチェーンツールを支援する個別のモジュールを必要に応じて追加することができます。

3. ツールを開発する: 取引禁止対象スクリーニング、トレードレーン分析、その他のサプライチェーン管理に特化したツールは大変便利です。例えば優れたスクリーニングツールは、制裁対象企業、制裁措置、重要な公的地位にある者(PEPs)、有害メディアをスクリーニングするだけでなく、スキャンしたリストを自動更新でき、データはより信頼できるものに、またリスク項目を設定することで必要な警告が実行されます。

しかし、どのようなツールを使うにせよ、サプライチェーンのデータをできるだけ多く収集し、児童労働の証拠や差し迫った自然災害などのリスク要因が発生したときに、迅速に対応し、代替案を採用するための知識と能力を身につけることが重要です。

短期・中期・長期の目標

短期、中期、長期の戦略を同時に追求することで、デューデリジェンス能力を強化することは可能です。

短期:新しい提携先や取引先が、会社方針に合致していることを確認しましょう。また、十分なデューデリジェンスを行わないまま、新たなビジネス契約を結ばないようにしましょう。労働や環境対策などについての期待も、契約に盛り込むべきでしょう。

中期: 継続的に現在の取引先を調査、見直して、ナレッジギャップや潜在的なリスク要因を発見しましょう。自社のニーズに最も適した自動化ソフトウェアに関する情報を入手し、導入しましょう。このためにはソフトウェアが合理的であることを経営陣に説得する必要があります。経営陣が貿易業務責任者の意見に耳を傾ける時代が来るとしたら、それは今です。

長期:ティア1サプライヤー以外のベンダーを可視化する方法を見つけることが重要ですが、時間がかかることがあります。ベンダーとの信頼関係があれば必要なサプライチェーン情報を入手できる可能性が高くなります、ベンダーとより良い関係を築き、信頼関係を構築することが重要です。

自動化によるサプライチェーン・デューデリジェンスの実現

サプライチェーン・デューデリジェンスは、継続的かつ着実に改善されるプロセスであるべきで、改善に向けた努力は貿易コンプライアンスの正しい方向へのステップとなる可能性が高いでしょう。

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