企業がScope 3排出量に関するデータを報告する必要性に迫られる中、サプライチェーンや社内ITとの連携を強化する必要があります。
政府、規制機関、企業方針により、Scope3開示義務は高まる傾向にあります。現在、Scope3排出量に取り組んでいる企業はまだ限られていますが、すでに情報開示している企業は今後、データの正確性と報告の質を高めることに注力する必要があります。
特にScope3排出量に注目する必要性は、サステナビリティの実務担当者やC-Suite幹部などを対象にした「Reuters Insight Sustainability Survey 2022」からも明らかです。回答者の79%がスコープ3排出量に懸念を抱いており、企業が排出量データの改善に投資する必要性が示されました。このような背景には、投資家からの情報開示の詳細化に対する圧力の高まりもありますが、より多くの情報に基づいた意思決定を行うための経営幹部からの内部圧力もあります。
同様にScope 3データの精度を高めることはサプライチェーンとの連携、気候や炭素への影響の低減(脱炭素化への取り組み)、サステナビリティレポートのさらなる詳細化を可能にすることから、企業の優先順位の上位に位置づけられます。
サステナビリティへの取り組み優先順位
スコープ3のデータは、社外のデータを必要とするため収集作業が困難です。しかし、スコープ3排出量のデータ品質向上に注力することにより、企業はネットゼロ移行計画の達成を目指すとともに、報告・開示においての信頼性を高めることができます。
サプライヤーとの関係を強化することは、Scope3データの課題に取り組む一つの方法であり、支出ベースのアプローチ、アンケートの使用、製品別の排出量の算出などを行うことができます。どのような方法であれ取引条件としてサプライヤーの関与を徹底させ、データの質と報告が向上するよう契約条項を活用してデータ収集を義務付けることにより継続して関係強化を続けることができます。
しかし、課題はそれだけにとどまりません。持続可能な取引先との関係構築のためには社内の協力と協調が必要です。取引先との関係構築の一環としてデータ管理の改善に投資することで、スコープ3排出量の集計と報告にかかるリソース負担を軽減することもできます。しかし、ロイター・インサイトの調査によると、企業の54%がExcelを使用するなど手作業の運用を選択していました。
しかし、手作業による情報収集は拡張性がなく、簡単に自動化できる業務に希少な資源を必要とします。スコープ3排出量の管理を手作業で行っていると答えた回答者の50%以上が、そのプロセスの簡単さ(57%)、有効性(52%)、効率性(52%)の3つのカテゴリーすべてにおいて劣っていると述べています。
Scope1と2の排出量に対処するために、クリーンエネルギーテクノロジーへの投資はより広く行われています。実際、Scope 3に取り組む企業が投資しているのトップ3は、クリーンエネルギー(67%)、データ分析(44%)、より効率的なITソリューション(37%)です。データ分析やITソリューションへの投資は排出量の測定と報告における改善に寄与しています。
対象範囲3の排出量は正確な情報開示が最も困難と考えられているため、この分野へのテクノロジーの投資は特に有益であると考えられます。今後2年間の投資計画も同様です、データ分析とより効率的なITソリューションが投資分野の上位3位以内にとどまっています。
監査のためにより合理的なプロセスを構築し、誤りを減らし、トレーサビリティを確立するために、企業はどのソフトウェアが最も適しているかを判断する必要があります。データプラットフォームは、企業内部の温室効果ガス(GHG)データ管理プロセスの合理化という相互利益を促進し、他の企業へのスコープ3排出量を報告する際にも役立ちます。
Scope3排出量のデータおよび報告の質を向上させるという究極の目的は企業内の自信を高め、グリーンハッシングを抑制し、さらなるグリーンウォッシュを防止することにあると思われます。
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