大規模貿易協定RCEPが2021年にアジアの多国籍企業を変革させる大きな理由

RCEPが調印され、アジアは一体となりました。歴史上初めて、日本、中国、韓国が同じ貿易協定を結ぶことになったのです。この巨大な貿易協定によって、企業はどのようにして競争力を高め、コストを最大限に削減できるのでしょうか。

地域的な包括的経済連携協定(RCEP)が11月上旬にベトナムで調印されました。ASEAN加盟10か国と、中国、日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランドが一つの自由貿易圏に結集する野心的な地域協定です。RCEP加盟国は世界の貿易とGDPの約30%を占め、世界最大の自由貿易協定(FTA)となっています。2030年までに、この割合は50%まで上昇する見込みです。

RCEPは、加盟国間に存在する膨大な数のFTAに最近追加されたばかりのものです。ASEAN物品貿易協定(ATIGA)が2010年に発効して以来、多くの企業が同地域での貿易にATIGAのような協定を利用し始め、その後も新たな協定が発効するたびに、その事業領域を拡大してきました。

アジア全域に事業領域を拡大する大きなチャンスを企業にもたらすRCEP発効

では、RCEPはエリア内で貿易を行っている企業にとってどのような意味を持つのでしょうか。なぜRCEPを考慮すべきなのでしょうか。

答えは簡単です。RCEPを利用すればメリットを最大化できるにもかかわらず、複数の協定を管理したり、異なるルールや原産地証明書の手続きを行ったりする手間をかける必要があるでしょうか。

しかしトムソン・ロイターの調査によると、回答企業の3分の2以上がFTAを効果的に活用できていませんでした。FTAのコンプライアンス対応が複雑すぎると感じているためです。企業は何百万ドルもの関税を必要以上に支払っていることになります。特に、輸出入管理手続きを手作業で行っている場合の負担は大きく、関税の面でも貿易円滑化措置の面でも、FTAからメリットを最大限引き出す術をを持ち合わせていないのです。

RCEPは、企業にとってFTA管理方法を再考するまたとない機会といえるでしょう。  利用する必要のあるFTAが一つにまとめられるだけでなく、この規模では初めて、製品を認定し、顧客に原産地証明書を提供するのに必要な時間とコストを大幅に削減できる自己証明条項を活用できるようになります。認定輸出業者(Approved Exporter)の認定を受ければ、企業は独自の原産地申告を作成できます。これにより、出荷ごとに原価計算表を提出したり、税関やその他の権限ある機関に原産地証明書を申請したりする負担が軽減されます。

デジタル化による企業のFTA管理の変革

Global Trade Management(GTM)ソリューションを利用すれば、貿易やサプライチェーン担当部署において、輸出入シナリオをシミュレーションし、結果を分析することで、最適な貿易管理施策を決定することができます。グローバルトレードソリューションは各チームメンバーの処理能力を10~15%増やすことができます。

GTMソリューションは、可能な限り最善の関税を適用することでサプライチェーンのコストを削減するだけでなく、貿易コンプライアンスのワークフローを合理化し、手作業をなくし、最新の規制変更を確実に遵守できるようにします。また監査証跡を構築しながら、誤りのない輸出者の自己証明申告書を作成できます。

RCEPの発効までにはまだ時間がありますが、アジア太平洋地域でビジネスを行うグローバル企業は、この準備期間を利用してGTMソリューションを活用しましょう。貿易業務のリスクを効果的に管理し生産性を向上させながら、コストを削減し、サプライチェーンの速度を向上させることに役立つでしょう。

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