必要な貿易管理スキルの激変に対応するには

~広がる自社の貿易担当のスキルと実際に必要なスキルのギャップ∼

トムソン・ロイター・インスティテュート(TRI)の最新レポートでは貿易管理業務の人材においてスキルギャップが拡大している原因を探り、解決策を提案しています。

世界中の多国籍企業が貿易管理業務で重要なポジションに必要なスキルと経験を持つ人材の採用が困難という共通の問題に直面しています。

グローバルトレードレポート2022 激動の貿易環境をテクノロジーで管理するでも明らかにされた課題で、調査対象の国際貿易専門家の77%が業界の急速な変化により重要な役割を担う人材の確保が困難になっていると回答しています。また、回答者の45%は求人市場で必要な人材が見つからないため、アウトソーシングを検討してこうしたスキルギャップを埋めていると回答しています。

この問題に対処するためトムソン・ロイターでは、「必要な貿易管理スキルの激変に対応するには~広がる自社の貿易担当のスキルと実際に必要なスキルのギャップ」と題したレポートを作成し、貿易業務における十分な有資格者をなぜ生み出せないのかを考察し、短期および長期の両方で問題に対処する戦略を提示しています。

国際貿易管理における変革の牽引役

このレポートにあるように貿易管理業務におけるスキルギャップは主に2つの要因によってもたらされ、それらが組み合わさることによって貿易業務担当に求められるスキルを変化させているのです。

第一の要因は、国際貿易の複雑さと不安定さが増していることです。地政学的な不安定さ、サプライチェーンの混乱、規制の変更、制裁、労働不安、法的な争い、燃料費の高騰など、国際貿易の専門家が常に対処しなければならない問題は数多くあります。このように業務の幅が急速に拡大しているため、豊富なスキルと適性を備えた人材が求められています。

第二の要因は、国際貿易のほぼすべての工程においてテクノ ロジーの影響と導入が進んでいることでしょう。企業、政府、税関当局間の情報伝達は、今やすべて相互に連動したシステムによって行われ、例えば、税関のコンプライアンス、制裁や拒否対象者のスクリーニング、規制変更の監視、自由貿易協定(FTA)や外国貿易地区(FTZ)の管理などは今や様々な種類の専用ソフトウェアを使用して管理・運営されています。このようなソフトウェアを使いこなす能力は今や必須であり、国際貿易担当の技術的な見識もまた、不足している必須スキルの一つです。

業界共通のスキルギャップ

このように、国際貿易の複雑化とテクノロジーの変化のスピードが相まって、従来よりもはるかに広範で幅広いスキルを持つ貿易専門家が必要とされているのです。しかし、このような多面的な能力と経験を持つ経験豊富な人材を見つけることは容易ではないことが今明らかにされています。

グローバル・トレード・レポート2022では、世界のグローバル・トレードの専門家に「業界の急速な進化により、重要な役割を担う人材の確保が困難になっているかどうか」を尋ねたところ、4分の3以上(77%)が「そうだ」と答えました。さらに、世界の45%の企業が公開求職市場で必要な人材が見つからないため、こうしたスキルギャップを埋めるためにアウトソーシングを検討していると回答しました。

またこのレポートでは、国際貿易の幹部が言う一般的なスキルギャップについていくつか挙げています。その中には、コンプライアンスや規制に関する知識、法的知識、技術的熟練度の不足、コミュニケーション、リーダーシップ、ビジネスセンス、さらにはプロジェクトや財務管理における実務経験の不足が含まれています。

職務経歴書に記載されるテクノロジー項目の拡大

トムソン・ロイターの最新レポートは、ビジネス、マネジメント、テクノロジーの各分野における特定のスキルギャップを取り上げ、これらのスキルが現代の貿易担当の職務プロファイルに果たす役割について解説しています。

特に興味深いのは、テクノロジーが世界貿易に与える影響と、新興テクノロジーがこの業界の将来の職務プロファイルをどのように形成するかについて、広範な分析を行っている点です。

例えば、先進的な貿易技術の副産物としてデータ解析の重要性が高まっていることが挙げられます。しかし、このような点は、膨大な量の貿易データから重要な知見を抽出する方法を知っている人材がいる場合にのみ可能です。

業界の戦略

残念ながら、国際貿易管理における重要な役割を担う熟練した人材の不足は深刻であり、企業や業界のリーダーは対策を講じる必要があります。このレポートでは、業界の差し迫ったニーズを満たすために、若い人材の発掘と育成、および中堅プロフェッショナルのスキルアップのための戦略について概説しています。

さらに重要なことは、将来、より強固な人材のパイプラインを確保するために、業界のリーダーや個々のグローバルトレードの専門家が今できることを論じていることです。

グローバルトレード 2022では、回答者の83%が、直面する多くの問題に対してより良いテクノロジーが最善の解決策であることと回答しており、テクノロジーがグローバルトレードに影響を与え続けることは、ほぼ避けられないと言えるでしょう。 しかし、テクノロジーだけで企業の貿易問題のすべてに対処することはできません。テクノロジーは、その効果を最大限に発揮する方法を知っている人材によって管理・運用される必要があり、現時点ではそのような人材を見つけることは困難です。


本題に関する詳細はグローバルトレードレポート、

必要な貿易管理スキルの激変に対応するには 

~広がる自社の貿易担当のスキルと実際に必要なスキルのギャップ∼

をご覧ください。


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