税務・会計の生産性の行方~APIとRPAによる自動化~

Samantha Mansfield LLC創設者  サマンサ・マンスフィールド

アプリケーション・プログラミング・インタフェース(API)およびロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)が提供する自動化は税務・会計事務所と税理士や会計士などの専門家に大きなメリットをもたらすでしょう。

現状のテクノロジーにおける課題

税務・会計の専門家は、医療関係者と同様、同僚や顧客に深い知識と専門知識を提供できるよう、ニッチな専門分野を開発しています。しかしながら、より複雑化する業務を専門家が1人ですべての担い、多種多様な業界やシナリオにあらゆる規制や基準を適用するのは不可能なことです。税務や会計の専門家にとってソフトウェアは長い間効率性を向上する重要な要素となっています。

会計および税務業界向けのツールを設計するテクノロジープロバイダの数は、この10年間で大幅に増加しました。テクノロジー分野の起業家は、会計プロセスのさまざまな部分も専門としており、実務家のニーズとその属する業界に最も適したプログラムを選択できる、アプリケーションのエコシステムを作成しています。例えば税務・会計事務所は、一般的な在庫追跡システムや買掛金システムをライセンスしてあるため、自社のニーズに合わせるカスタマイズの必要がなくなりました。

しかし、ワークフローがそれぞれ独自のテクノロジー・プラットフォームを持つ異なるシステムで構成されている場合、大きな問題となるでしょう。この問題の解決策は、この環境にさらなる自動化を実現するAPIとRPAにあるかもしれません。

APIとRPAとは?

APIとは、アプリケーションプログラミングインタフェースと呼ばれるものです。これによってアプリケーションが別のサードパーティプログラムと通信できるようになります。このような統合化ソフトウェアは何年も前から業務の中心にあったので、あまり目新しい話ではないかもしれません。しかしAPIが実現するのはデータの転送だけではなく、APIは新しい産業を生み出してきました。

APIは、エンドユーザーやテクノロジー企業に革新性と柔軟性をもたらします。クラウドベースのテクノロジーを使用するようになり、データやプロセスへのスムーズなアクセスが大きく期待されるようになりました。そして、私たちが毎日実行している機能の多くはAPIによって促進されています。例えばPayPalでの支払いなどもその一つです。

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)も自動化ソフトウェアの1つですが、裏でデータを要求したり送信するのではなく、アプリケーションのユーザーインターフェースと対話します。スタッフがEメールで受信した請求書を開いて買掛金プログラムに入力する代わりに、RPAは請求書のコピーを実際に取り込むことによって、このタスクを実行するようにプログラムすることができます。この例では、ルールと基準が明確に定義されています。RPAボットが人間のようにアプリケーションのフロントエンドをクリックして操作するため、APIがシステム間に介在し、Eメールから買掛金プログラムに情報を入力する必要がなくなります。

要するに、APIはコンピュータやアプリケーションにより使用されるために設計され、一方でRPAボットは、人間と同じようにユーザーインターフェースとのやり取りを行います。

自動化による生産性の向上

税務・会計の専門家は、パンデミックの間、需要の増大によって直面する生産性の課題を解決しようとしてきました。そして今こそ、自動化テクノロジーをさらに活用するときだと考えています。

「RPAは従業員の利益を最大化する」と、RPAソリューション企業ElectroNeekの共同創業者のドミトリー・カルポフ氏は言います。今日では、あらゆる規模の組織がこのテクノロジーにアクセスでき、システム間の統合をプログラムして維持するための高度なITチームは必要ありません。

税務・会計事務所は、さらなる自動化を実現するためにテクノロジー企業の協力を求めることがあるでしょう。実際、多くの会計ソフトウェア会社は「マーケットプレイス」ページに、そのパートナーAPIである企業を掲載しています。探しているプログラムがソフトウェア会社のAPIパートナーページにない場合は、他のプロバイダーがインターフェイスできるオープンAPIがあるかどうかをその会社に確認してみてください。そのソフトウェア会社が新しいプログラムにAPI転送を構築するサービスを提供していない場合、オープンAPIを介したデータ転送を可能にするよう技術コンサルティング会社に支援を求めることもできるでしょう。

成長するRPAの可能性

RPAは比較的新しい技術なので、企業はボットをプログラムするためにITの専門家のサポートが必要となるでしょう。企業がこのような専門知識を利用できない場合は、プログラミングを代行してくれる新興企業もあります。ソフトウェアのライセンスの代わりに、技術的な専門知識のライセンスを取得して、お客様に代わって自動化を構築します。これをサービスとしての自動化(AaaSと言います。パンデミック下のRPAの成長に伴い、この技術の価格は下がり続けていますので、現在は手頃な価格で導入することができるでしょう。

クラウドの導入が増加したことにより、これらのツールはより利用しやすくなっています。テクノロジー企業は、自社が最も得意とするものを開発し続けると同時に、企業と提携してネットワークを拡張し、シームレスなユーザー体験を構築するよう努めています。

税務・会計の専門家や企業トップは、現在の技術スタックで利用できる自動化オプションを検討すべきでしょう。自動化の選択肢を知ることで、専門家が頭を悩ませるキャパシティの問題を軽減することができるでしょう。人員の増加を望むのではなく、多くの業務を自動化して、今ある人材と能力を最大限に活用することを考えられるようになるでしょう。

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