2022年HSコード(統計品目番号)、新製品の登場と地球環境・社会問題を反映

新技術、新製品の登場、新たな国際問題を踏まえた最新のHS改正により、製品標準名称の最新性を確保

世界の183の加盟国・地域の税関当局の最高責任者で構成される国際機関、世界税関機構(WCO)は、5年ごとに、商品の名称および分類についての統一システム(HS)の製品標準名称の全般的な改正を行っています。このWCOが策定した製品標準名称は、世界200以上の国と地域の関税率表の基礎となっています。

これらの改正は、新技術を踏まえてHSを常に最新の状態とし、新製品の登場や新たな国際問題を可視化することを目的としています。HS 2022を改正する主な理由は以下です。

  • 技術の進歩
  • 新製品の登場
  • 貿易パターンの変化
  • 環境に関する考慮事項
  • 安全衛生
  • テロ対策
  • さまざまな国際条約の実施の促進

これらの要因の多くは相互関連しています。たとえば、技術の進歩は新製品の登場や貿易パターンの変化につながる可能性があり、環境、健康、安全に関する懸念事項は多くの場合、国際条約下で規制されている物品に関係しています。

商品の名称および分類についての統一システム

全物品を完全に網羅しているわけではありませんが、HSは、動物性、植物性、鉱物性生産品などの非製造品から、製造品やその他の高度に加工された物品に至るまで、国際的に取引されている5,000以上の物品グループで構成される広範な製品標準名称です。

関連物品はカテゴリーごとに部(Section)[MT1] で大きく分けられ、次に類(Chapter)でさらに分類されます。 HSの関税番号は、物品を広範に識別する4桁の項(heading)から始まります。さらに、項は6 桁の号(subheading)に細分されます。 HSの契約国では、6桁のコードで識別される標準名称を使用し、物品の関税分類の統一化を推進しています。

各国では、自国の関税率表にさらに、より細分化された項目を追加することができます。米国の関税率表(一般的にHTSUSまたはより簡単にHTSという)では、関税率には8桁のコードが割り当てられますが、統計報告や貿易データの収集用に10桁レベルまで細分化されています。

1988年にHSが初めて発効されて以来、WCOは6回の全般的な見直しを実施してきました。これらの見直しでは、技術の進歩、貿易パターンの変化、新製品の登場を反映するために、HSの改正が必要かどうかを確認して行われています。

各国の税関および貿易当局は、多くの場合、民間セクターや国連食糧農業機関などの国際機関から情報を得て、検討のために、WCOに改正案を提案します。改正案は最初にWCOの小委員会によって審査された後、WCOの統一システム委員会でさらに検討されます。当委員会では、183の WCO加盟国の税関当局の事務局長で構成され、WCOの最高意思決定機関であるWCO総会に改正案を上程するかを採決し、その後、WCO総会は改正案を承認するかを採決します。

HS 2022 に向けた WCO 改正結果

HS 2022 改正では、主に新たな項と号の追加、品目の変更、法的注釈の追加または改訂が行われます。下記の事例[MT1] は、HS 2022改正がWCOで特定されたさまざまな懸念事項にどのように対処しているかを示しています。

環境への影響

電気・電子廃棄物(e-waste):この新たな品目は、有害廃棄物の国境を越える移動およびその処分の規制に関するバーゼル条約に基づくWCO加盟国の対応をさらに可視化し、支援することを目的とします。耐用年数の終わりに達している電子機器製品は、環境に悪影響を及ぼす可能性がある(また、高額な取引額の物品である)ため、e-wasteの項、およびe-wasteの主要なカテゴリーの号が新設されました。

モントリオール議定書キガリ改正下で規制されているガス:モントリオール議定書の締約国による、世界中のハイドロフルオロカーボンの生産と消費の削減を目的としたキガリ改正の実現を支援するために、新たに部注が追加され、項が新設されました。

貿易パターンの変化

スマートフォン:スマートフォンを分類する号が新設され、この用語の範囲を定義する類注が新たに追加されました。無人航空機(ドローン):ドローンの分類を単純化するために、ドローンを分類する項が新設されました。新たな形式のたばこおよびニコチン含有物品:高額な取引金額である(また、貿易統計の不透明性やこれまでの品目分類の難しさに対処する)ため、非燃焼吸引用たばこを分類する項が新設されました。

テクノロジーと製品のイノベーション

電動モーターを搭載した大型車:前回のHS 2017改正では、一定の自動車を細分し、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド自動車、完全電気自動車に対して別々に統計品目番号を付与しました。HS 2022では、同様の分類適用を一定のトラクターや貨物自動車に拡大し、部分的および完全な電気大型自動車の号を新設するなどしました。

3Dプリンター:3Dプリンターを分類する「積層造形用の機械」の項が新たに追加され、例えば、金属の積層、プラスチック・ゴムの積層、石膏やセメント、セラミック、ガラスの積層など、堆積物の種類に基づいて機械を分類する号が新設されました。

健康・医学研究

迅速な診断用試薬:感染症を迅速に診断するためのツールの配備の遅れから生じる可能性がある危機を鑑み、ジカウイルスや蚊により媒介されるその他の感染症の診断用試薬の規定が変更され、分類が簡素化されました。

プラセボおよび臨床試験キット:国境を越えた医学研究を促進するために、プラセボおよび二重盲検臨床試験キットの号が新設され、プラセボ成分に関する情報がなくても分類が可能になりました。細胞培養および細胞療法:これらの物品に対して新たな規定が新設されました。

テロ対策

デュアルユース(平和および軍事の両方の目的に使用できる)品目:放射性物質、バイオハザード対策用キャビネット、ならびに起爆装置などの建設用即席爆発装置の部品など、不正使用にされる可能性のあるさまざまなデュアルユース物品の号が新設されました。

国際条約下で管理される原料

WCOは、国際条約、協定、イニシアチブは多くの場合、国境におけるその遂行に関してはHSに依存していることに留意し、HS 2022 では、下記のとおり、新たな号が新設されました。

  • 化学兵器禁止条約に基づき活動を進める化学兵器禁止機関が規制している化学物質
  • ロッテルダム条約で規制されている有害化学物質
  • ストックホルム条約で規制されている残留性有機汚染物質
  • 国際麻薬統制委員会が規制しているフェンタニル・オピオイド物質およびその誘導体

越境貿易に従事する企業は、HS 2022改正を再検討し、これらの変更が自国の製品分類に影響を与える可能性があるかを判断する必要があります。米国への輸入の場合、大統領に対してHTSUSに準拠する変更を米国国際貿易委員会が勧告します。

また、企業はこの機会を利用して、2022年1月1日にHS 2022が発効された際には物品を正しく分類できるように、一般的な関税分類プロセスを分析する必要があります。

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