パフォーマンスが高い法務部門の特徴

パンデミックは法務部門の働き方をどう変えたのか

昨年の世界的な新型ウィルス感染症の流行とそれに伴う経済危機は世界中の企業に大きな打撃を与え、多くの企業が混乱の中で新たな働き方への劇的な転換を余儀なくされました。米国をはじめとする世界各地で危機が収束しつつある中、企業は過去2年の間に学んだ教訓に目を向け、未だ落ち着かない世界に歩みを進めようとしています。

企業の法務部門は、こうした教訓が最も価値を発揮する場といえるでしょう。トムソン・ロイターが発表したレポート「2021年 企業の法務部門の現状」によると、企業の法務部門は、コロナ禍の初期段階において、いち早く危機管理体制に対応することを求められました。そして現在は、今後どのようにビジネスを進めていけばよいか、その道すじを指し示すことを求められています。

2022年になっても困難は続いています。しかし多くの法務部門は今、コロナ禍で経験した事柄に学び、以前に比べると有事に対して備えていると言えます。社内弁護士は、新たな考え方で異変に対して柔軟に適応し、また、リモートワークの有効性を証明してきました。法務関連予算は今後も伸び続けるでしょうが、先見の明のある法務部門はこの時機をとらえ、限られたリソースを元手に価値と効果を最適化するために、適切なテクノロジー、プロセス、スマート・リソーシングを導入していくでしょう。

コロナ禍で強靭化した法務部門の特徴

では、ポストコロナの時代に、回復が進む経済を活用できる法務部門には、どのような共通点があるのでしょうか。

前述のレポートでは、法務部門が進化するために今後習得すべきものとして、必要なテクノロジー、ビジネスパートナーとのコミュニケーション、外部リソースの活用、企業が抱えるリスクの最小化の4つを挙げています。

また変革を推進する上で、企業の法務部門に所属するスタッフが極めて重要な役割を果たすこともレポートでは指摘しています。そして、多くの部門がその提案に耳を傾けています。予算がひっ迫し、他の職務は減らされた中にあって、昨年、採用活動を行った法務部門の実に80%以上が法務業務職を増員しました。こうした状況は、パンデミック後に業界が落ち着きを取り戻すまで続くと思われます。

テクノロジーの導入効果

現代の法務部門を効果的かつ効率よく運営するためには、必要なテクノロジーを導入して活用することが極めて重要となります。実際、このレポートでは「エッセンシャル・テクノロジーとプロセスのサポート」が、成功の重要な決定要因として挙げられています。レポートによると、調査対象となった法務部門のうち、テクノロジーへの投資を増やしていると答えたのはわずか30%であり、これは大多数が現時点においては、投資をしていないことを意味します。

特にリモートワークが継続されると予想される将来において、テクノロジーへの適応力は、先進的な法務部門の言わば核となり、ビジネスの前進に欠かせない柔軟さと適応性を実現する根幹となるでしょう。つまり、柔軟で適応性の高い法務部門は、組織の競争力を高めることができるのです

部門のワークフローのあらゆる面に、テクノロジーに基づくプロセスが行き渡る必要がありますが、ここで最も重要なのは、リモートワークやオンライン会議の扱いを規定することです。それにより、新しいテクノロジーツールが適切に使用されるようになり、リーガルオペレーションの専門家が各部門の法務チームの準備と研修を支援できるようになります。

コミュニケーション

成功する法務部門のもう一つの重要な特徴は、当然のことながらコミュニケーションです。コロナ禍では従来のコミュニケーションが崩壊し、ビデオ会議、電話、Eメール、チャットメッセージなどが対面でのコミュニケーションに取って代わったため、今後ともコミュニケーションの方法は重要な意味を持つでしょう。

法務部門のリーダーは、社内の関係部署と密に連絡を取り、重要な会議では必ず法務の視点が考慮されていること、そして、リスクが特定され、かつ明確に説明されるように確認する必要があります。さらに、既成概念や社内の上下関係にとらわれない文化を育て、困難な課題の解決に向けて、社員が自由にアイデアを出し合えるような環境を整えることも必要です。

外部の専門家

法務部門はこの他にも、社外弁護士や代替的法務サービスプロバイダー(ALSP)といった外部の法務サービスの運営方法からも多くを学ぶことができます。この分野でも、法務の専門家が利用可能なリソースを最大限に活用して部門をリードすることができます。

コロナ禍において、多くの法律事務所が知識共有(ナレッジ・シェアリング)の取り組みの方向性を変更しました。彼らはコロナ禍における法的な影響をクライアントが理解できるように知識共有に注力し、ニュースレターやウェビナー、ナレッジ・ポータルなどを活用し、一般的なアドバイスと個々のクライアントの事情に合わせた詳細なアドバイスの両方を提供しました。

法務部門は今、こうしたサービスを先細りさせるべきではありません。むしろ、外部の法務プロバイダーだからこそ提供できる専門知識やリソース・シェアリングを最大限に活用するべきです。さらに法務部門は、ALSPにならい、コロナ禍終息後も柔軟な働き方の選択肢を維持し、より熱心で創造的なチームを育成すると同時に、外部の法律事務所にもこのような傾向を示していくことが賢明といえるでしょう。

リスクの最小化

外部の法律事務所の無料リソースにアクセスし参考にすることで、新たに浮上する法務の問題を特定したり、理解を深めつつ、自社が直面する可能性があるリスクを最小化することができます。

例えば、進化するポスト・コロナ関連規制の追跡しコンプライアンスの確保したり、あるいは、すべての潜在的な法務リスクを取り込み、ランク付けする「リスク・レジストリ」の作成・維持に取り組むなどです。これらの重要なタスクは、部門が懸念するリスクを軽減し、必要な措置を取る上で役立ちます。

今後の展望

今後、その影響範囲や種類すらも不明であるばかりか、タイミングすらも予測不能な危機が発生するおそれが高いことを、法務部門のリーダーであればしっかり心に留めておくとよいでしょう。コロナ禍で法務部門が確立した柔軟なツール、システム、スタッフを「平常時に戻る」ために放棄してはなりません。むしろ、部門のリーダーは、法務部門の継続的な変革が今後どのようなものになるかを綿密に計画する必要があります。

また、テクノロジーやリーガルオペレーションの専門知識への投資が拡大する中で、リーダーは部門のワークフロー、人材、リソースをどのように組織化するかについて深く考える必要があります。あわせて、業務の効率性を高め、部門とそのビジネスパートナーの目標を達成し続けるため、部門のリーダーは、必要な外部の専門知識を利用するとともに、望ましい柔軟性を従業員に提供しなければなりません。

2022年以降、最も成功する法務部門とは、より迅速かつ効果的に行動し、ビジネスパートナーが競争優位性を獲得できるように支援することで、その価値の向上を実証できる部門となるでしょう。


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