社内で紛争・訴訟案件を効果的に処理するための4つのヒント 

増加する訴訟案件や紛争解決に関連する法務業務を、社外弁護士に依頼することなく、より効率的かつ効果的に取り組むにはどうすればよいでしょうか。

社内弁護士は、外部の弁護士に依頼するよりも、訴訟や紛争解決、特に訴訟前検査や証拠開示の案件を多く扱っています。これは、外部の弁護士にかける予算が減少し続けているためです。訴訟の複雑さを踏まえて、企業内弁護士はどのようにすればより効率的かつ効果的に仕事量の増加に取り組めるのでしょうか。

ここでは、企業内弁護士が社内で紛争や訴訟をよりよく管理するための4つのヒントを紹介します。

1.早い段階から社内の関係部署および関係者と連携する

企業が訴訟の脅威にさらされる前の早い段階で、企業のステークホルダーと関係を築き、信頼性を高めることは、企業内弁護士が効率的かつ効果的に紛争や訴訟に対処するための最も有効な手段の一つです。しかし、社内弁護士は、社内のステークホルダーと積極的につながるよりも、法律仲間と知り合うことに重点を置いていることが多いようです。社内の他部署と関わる必要があるような紛争案件が発生してはじめて、ステークホルダーと交流するケースが非常に多いのです。

企業内弁護士は、紛争や訴訟が起こるずっと前から、日常的に社内のさまざまな部署やグループと親交を深め、彼らのニーズや仕事の進め方を理解し、相互の信頼関係を確立する時間を取る必要があります。

例えば、データ管理担当者やITの関係者とコミュニケーションを取り、適切なプロトコルを設定したり、そのプロトコルを遵守することの重要性を理解してもらうことは、その後の訴訟や証拠開示において大きな違いを生むことになります。確立された協力関係、適切なデータ管理のインフラがすでに整っていれば、紛争時にデータを探し出し、検索し、評価するという作業はずっとスムーズになり、証拠隠滅の制裁などの深刻な問題を回避することができます。

同様に、雇用に関する紛争を扱う企業内弁護士の場合、人事部門と良好な関係を築き、事実の収集者ではなく、アドバイザーとしての弁護士の役割を明確に定義することが重要です。これは、社内弁護士が後に事実証言者として扱われたり、弁護士・依頼人間の秘匿特権が損なわれたりすることを防ぐのに役立ちます。また、ITおよびデータプライバシー関連部署と強固な協力関係を築いておくことも、社内デバイスの不正使用や会社のプラットフォーム上での通信に関わることが多いこれらの紛争において有益です。

2.企業内関係者へのアドバイスの方法を理解する

訴訟を起こすことと和解を成立させることのリスクとメリットについて、法律家以外の企業関係者に助言することは、企業内弁護士にとって重要な仕事です。しかし、社内弁護士は、弁護士の役割は法的リスクを評価し、利害関係者の選択肢を法的視点から特定することであり、利害関係者のためにビジネス上の意思決定を行うことではないことを関係者に明確に伝える必要があります。

利害関係者に訴訟か和解かをアドバイスする際、社内弁護士は、コストや風評被害を考慮し、訴訟に対する会社の一般的なリスク許容度を把握する必要があります。弁護士は、相手の資金力、係争額、企業幹部が訴訟に費やすべき時間、訴訟のメリット、証拠能力の問題などを考慮し、社内関係者にアドバイスできるよう準備しておく必要があります。また、株価下落の可能性、継続的なビジネス関係の混乱、資金調達や投資家の確保ができないこと、保険加入への悪影響など、その他の商業的な検討事項にも留意する必要があります。

3.外部弁護士に依頼するタイミングを知る

社内弁護士は、自社のビジネスや法律問題、業界や業種の微妙な問題を熟知している専門家です。いつ、どの程度、外部の弁護士に依頼するかは、企業の法務部門の規模や紛争の性質など、さまざまな要因に左右されます。外部の弁護士に依頼する前に、正式な苦情が提出されるのを待つ方が費用対効果が高い場合がほどんどですが、難解な法分野、社内弁護士が不慣れで、高度に専門的なテーマ、または外国の司法権に関わる紛争は例外です。

外部の弁護士に依頼する場合は、その業界と関係する法律の領域に精通している弁護士を見つけることが最も重要です。社外弁護士の探し方としては、口コミや企業内弁護士のニーズに合わせたウェブサイトを見るのが一般的です。また、馴染みのない地域で適切な弁護士を見つけるには、関連する法律分野の重要な事例を調査し、その事例で弁護士として記載されている弁護士を採用することも有効な手段です。

社外弁護士に依頼した後も社内弁護士が監督することで、無駄な作業を省くなどして会社の経費を節減することもできます。また、社外弁護士が会社の文化や望ましい訴訟結果が直感的にわからない場合、協同することにより最良の結果を得られるでしょう。

4.外部リソースを選択する

どのような法的問題に対しても、オンラインで入手できる情報は膨大です。その中から良質な情報を探し出すには時間がかかりますが、企業内弁護士にとってそのような時間を確保するのは難しくなっています。検索エンジンの検索結果を鵜呑みにするのではなく、信頼できる法律事務所のニュースレターや、評判の高い法的プラットフォームなど、顧問弁護士が自信を持って信頼できる情報源から始める方が、はるかに効率的で効果的です。

この戦略により、効率が向上し、社内弁護士は得られた情報が正確で最新であると確信することができるようになります。また、このようなリサーチによって、新たな業務や複雑な業務が発生するたびに新たに車輪の再発明を行うのではなく、他の弁護士の専門知識を活用することができます。例えば、顧問弁護士は、ゼロから始める代わりに、外部業者の法務プラットフォームで、コストワークシートや文書保存レターなどのモデルフォーム文書を検索し、起草のための説明書きを添付することができます。また、訴訟ホールドの実施、文書保存義務のニュアンスの理解、訴訟解決のための戦略検討などに、信頼できるリーガル・プラットフォームの実用的なガイダンスを利用することもできます。


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