人材問題と規制の変化が、コロナ禍以降の税務部門運営に与える影響

トムソン・ロイター マーケットインサイトの最新ポッドキャストでは、最近の「税務部門の現状報告」が示す、今日の法務環境における税務部門の対処法について解説します。

トムソン・ロイター研究所、クライアントサービス担当シニアディレクターであるエリザベス・ダフィーは、企業の税務部門は引き続き「コロナ禍による人材の絞り込み」に直面していると述べています。税務・会計の世界では、すでにデジタル化に対応するために大きな問題に直面していました、この状況はさらに悪化していると彼女は付け加えています。

トムソン・ロイターの「2022年法人税務部門の現状報告」では、回答者の73%が今後2年間で政府および規制の大幅な変更が予想されると答え、昨年と比較して16%も数値が上昇しています。これらの規制の影響は大きいですが、ほとんどの法人税務部門は、その際に必要となる人材、プロセス、テクノロジーの導入等の準備ができていないと感じています。

トムソン・ロイター研究所、マーケット・インサイトのチャンネルで配信される最新のポッドキャストでは、第3回年次報告書のベンチマークデータを検証し、調査回答者(主に21業種の企業の税務部門長、70%が税務担当副社長またはディレクターの肩書を持つ)が最も懸念していることを明らかにしています。

コロナ禍以降、どの業界も課題を抱えていますが、税務・会計業界における問題は特に深刻化しています。高齢化により、企業の税務部門や外部の会計事務所を問わず、税務・会計業種はすでに人材難に陥っていました。コロナ禍によって、一部の人材は業界から去り、残りの大部分はリーダー的な役職に就いておらず、昇進への明確な道筋がないと感じています。その主な理由は、ダフィーが示すように、ほとんどの部署が人材不足を感じており、その結果、回答者の60%以上が「キャリア開発に取り組む時間がない」と答えたからです。

今年の報告書で驚いたことのひとつは、教育の機会がないと感じている人が女性回答者の30%であるのに対し、男性回答者はわずか7%だったことだとダフィーは指摘します。(回答者の属性は、女性45%、男性49%)

人材問題は依然として最重要課題

米国公認会計士協会(AICPA)は、2020年までに税務・会計専門家の75%が定年退職の対象となると予測していました。そこで、アンケート回答者に、現在の仕事を辞める可能性について質問しました。予想通り、51歳以上の従業員が今後10年以内に退職する可能性が最も高かったと、ダフィーは説明しています。しかし、最も離職リスクの高い社員は 41歳から50歳の人々です、本来であれば部署のリーダー的役割を担うはずの人たちです。

退職を考えている多くの人の理由の第一は、過小評価されていると感じることで、3分の1以上(34%)がこの理由を挙げています。次いで現在の職務でのキャリアアップができていないことが27%となっています。

エリザベス・ダフィー

数値から推察する問題の大きさ

興味深いことに、平均人員が22人の法人税部門は、適切な人員が確保されていると感じているのに対し、平均人員が32人の部門では回答者の57%が人材不足だと感じています。これは昨年より10ポイントも増加しています。

この数字から推察される、適切な人員が確保されていると感じる要因はいくつかあります。従業員が業務を遂行するための適切なスキルを持ち、テクノロジーを活用して効率性を高めていることです。最も必要とされているスキルは何かという質問に対して、部門長の40%以上が税務テクノロジーと答え、次いでリーダーシップ(キャリアアップのため)となっています。

この報告書では、人材に関するあらゆる懸念に加え、各部門が人員の問題にどのように対処しているかについても掘り下げています。ほとんどの部署が「自動化とテクノロジーでより多くのことを実現する」戦略を採用していることがわかります。

「新しいツールの導入であれ、スキルの向上であれ、税務部門を効率化するためにプロセスの合理化についても議論されています」とダフィーは述べています。


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