シンガポールがRCEPを批准

シンガポールは中国とタイに続いてRCEPを批准しました。今年、日本がこれに追随して、RCEPを批准する可能性があります。

東アジア地域的な包括的経済連携(RCEP)協定の署名からおよそ100日後、中国はこの歴史的な協定を批准しました。中国の批准からわずか30日後には、シンガポールがRECPを批准しました。RCEPに参加するASEAN10カ国とオーストラリア、中国、日本、ニュージーランド、韓国の15カ国のうち、批准手続きを完了した加盟国は、シンガポール、中国、タイにとどまっています。

RCEPとは

世界の国内総生産(GDP)の3割を占める大型の貿易協定。CPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定)と同様、アジア地域を対象とした最新の貿易協定です。専門家によると、RCEP貿易圏は多大な経済的利益を生み出し、2030年までに世界貿易額を5,000億ドル押し上げる可能性があるということです。

「シンガポールが地域的な包括的経済連携協定を迅速に批准したことは、国内企業と国民のために、各国との貿易・経済のつながりを強化するという我が国の強い決意を表すものです」と、チャン・チュンシン貿易産業相は述べています。

シンガポールの対応の素早さは、FTA(自由貿易協定)が大いに魅力を増し、特に経営幹部レベルには一段と魅力的になっているという証拠です。誰もが次はどこかと情勢を見守っています。加盟国の中でもオーストラリア、日本、韓国といった大国も間もなくRCEPを批准するでしょうか?中国、タイ、そして今やシンガポールが迅速に対応したのを見て、今年は他の国々もレースに加わり、RCEPを承認するかもしれません。

アジア貿易の基盤

域内有数のものづくり大国である日本は、今年2月にすでにRCEPの批准に関する法案にゴーサインを出しています。日本の梶山弘志経済産業相はこの問題を取り上げた記者会見で、世界の貿易と人口の3割を占め、世界最大規模のFTAとなるRCEP協定は、「アジア貿易の基盤」になると話しました。

企業がフルに活用できれば、RCEPなどの貿易協定によって日本企業に革新的な利点がもたらされることは言うまでもありません。他の国々がRCEPの批准手続きを進める間、企業には何ができるでしょうか。競合他社や同業者が時流に追いつこうとRCEP対応を進めているのに、手をこまねいていると採算も取れなくなります。

どの協定が自社にとって最適か、RCEPによって製品原価や陸揚げ費用をどう削減できるのかを見極めるのが大切な問題ではないでしょうか。輸出者の皆さんは、協定を活用し、自社のサプライチェーンを変革する準備や調整ができているでしょうか。実現可能な貿易シナリオは特定できているでしょうか。

このような疑問は単に表面をなぞっただけにすぎません。アジア太平洋地域の企業、特に輸出者と製造者は、解決策の探索に乗り出す必要があります。

考えられる主な対応策は次の3つです。

  • RCEP加盟国に対する社内の既存の貿易フローを再確認する
  • 現在どのFTAを活用しているのか、どこに新たなチャンスが存在するのかを検討する
  • RCEPの評価を行って、自社のFTAフットプリントを集約し、FTAの対象範囲を拡大する

今すぐRCEPの活用を始めましょう。

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