コスト削減と競争優位性のためのFTA活用 :RCEPは絶好の機会

自由貿易協定(FTA)は、企業が大幅なコスト削減を実現し、競争優位性を獲得し、サプライチェーンを最適化するための絶好のチャンスです。

今年8月に発効した地域包括的経済連携協定(RCEP)とEU・ベトナム自由貿易協定(EVFTA)は、アジア太平洋地域の企業に大きな利益をもたらすことになるでしょう。

新型コロナウイルスの流行、米中の貿易緊張は従来のサプライチェーンと貿易ルートを根本的に永遠に変えてしまいました。そのような中では積極的なビジネスパートナーとの連携、強力なリーダーシップ、断固とした行動が求められます。企業はこの危機をサプライチェーン戦略を大変革し、ビジネスの成長を加速させ、収益性を向上させる絶好の機会としなければなりません。

なぜFTA主導型なのか?

現在も進行中のコロナ禍において、企業はサプライチェーンの変革を余儀なくされています。しかし、コスト面のメリットや競争上の優位性を得るために、このチャンスを利用した企業はあまり多くありません。

FTAを最大限に活用できれば、企業はコスト削減を実現できます。RCEPは、中国、日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、ASEANにまたがって世界のGDPと人口の約30%をカバーする世界最大の貿易圏です。この協定ではさまざまな関税を撤廃することとなります。EVFTAは双方の間で取引される全商品の99%の関税を撤廃し、CPTPPは完全に批准されれば、日本、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、ベトナム、メキシコ、カナダを含む11の加盟国の間で98%以上の関税を撤廃することになります。

企業は自社がFTAを活用しているかどうかだけでなく、どのようにして最大のコスト削減につなげるかを分析する必要があるのです。

FTAでどれだけコスト削減できるか?

FTAをどのように活用していますか?文書を手作業で作成していると、エラーのリスクはさらに高まります。コンプライアンス違反から、エラーによる通関や出荷遅延で、売り主に支払う罰金まで、サプライチェーンの様々な段階でペナルティにつながるリスクが存在します。手作業での報告書作成はエラーが多く、完了までに数十分から数日かかることもありますが、デジタル化したプラットフォームでは数分でミスなく同じ作業が完了できます。

またFTA管理を自動することで、エクセルファイルやシステム、ウェブサイトから情報を探らなくても、関税削減の新たなチャンスを見つけることができます。

FTAにより節税が可能になることは明らかですが、貿易管理担当にとっては、ROIを測定するために実際の節税額と効率性の向上を可視化することが非常に重要です。データにアクセスするだけでコスト削減状況が追跡できることは、サプライチェーンの戦略的管理を最適化する上で非常に貴重といえるでしょう。

以下は、FTAにより関税や陸揚げコストが削減にどのように削減されるかの一例です。

FTAが貴社の総陸揚げコストに与える影響・在庫コストを37.5%削減します。

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陸揚げコストは企業の価格設定と収益性に影響を与える重要な要素ですが、正確に計算することは非常に困難です。多くの関係因子のうちの1つでも正しく追跡されていなかったり、最適化されていなかったりすると、コストが大幅に上昇する可能性があります。

上の表によると,FTAを100台を例として適用した場合,陸揚げコストは342万ドルから214万ドルへと37.5%も削減され,1台あたりのコストは3万4,200ドルから2万1,400ドルへと低下しました。

陸揚げコストを削減することは、P&Lや価格競争力に大きな影響を与えます。コストベネフィットの一部を消費者に転嫁することで、企業は需要を押し上げ、収益と市場シェアを拡大することができます。

サプライチェーンの機敏性

より広い意味では、様々なシナリオを検討できるような機敏なサプライチェーン戦略を持つことが非常に重要です。サプライチェーン、市場、規制が日々変化する中では、複数の輸出入オプションを検討し、変化する要因が商品の動きに与える影響を比較できることが最も重要です。

国際貿易プロセスの自動分析ツールでは、制裁、リスク、関税や税金の支払い予測、その国でのビジネス状況、規制の変更などの要因を考慮することができます。

データを分析することで、サプライチェーンがどのように機能するかを事前に正確に把握し、リスクが発生した場合のさまざまなシナリオを計画することができます。不適切な製品分類や過払い金が発生している場所を特定することができ、チーム内で共有する重要な情報となります。

デジタル化:データ統合によるコスト削減

デジタル化により関連するすべてのコンプライアンス義務を確実に満たすことができるようになりますが、最も重要なことは、企業にとって大きなコスト削減となるかどうかです。

ERPまたはサプライチェーンパートナーとのデータを1つのプラットフォームに統合することにより、地域、事業単位、製品、およびサプライヤーごとに関税額を明確に把握できます。それによりソーシング戦略の調整など、コストを削減するための新しい方法を特定できます。

ある多国籍企業では、バラバラになっていたプロセスと手作業による計算を統合型デジタルプラットフォームに置き換えたところ、年間100万米ドル以上のコスト削減に成功しました。また別の企業はですが、デジタル化により、国境を越えた節税額は1億米ドルに達しました。

変化が多ければ多いほど、収益とビジネスに違いをもたらすサプライチェーン戦略を構築するチャンスです。サプライチェーンに変革を起こす準備はできていますか?

FTA有効活用のためのテクノロジーとコンテンツ

トムソン・ロイターは重要なコンテンツとテクノロジーで貿易管理を担当されている方々に力を与え、サプライチェーンと国際貿易を最大限に活用できるようサポートすることです。詳細はこちらをご覧ください

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