日々変化し続ける複雑な世界における電子インボイスと税務コンプライアンス

規制と報告要件が世界中で急速に変化する中、税務コンプライアンスの重要性はどのように増しているか。 

間接税(IDT)チームが担当するコンプライアンスは、華やかな仕事とは言えないかもしれませんが、世界各国で規制と報告要件が急速に変化する中で、これまで目立たなかったコンプライアンス部門も目に見えない挑戦に矢継ぎ早に立ち向かう場へと変わりつつあります。 

もちろん、コンプライアンスの主な目標は、関連規制に従ってすべての税を正確かつ期日通りに申告することです。しかし、世界中の政府が電子インボイスの新たな要件、リアルタイム報告、 その他のデータ集約的な税務作業を課す中、コンプライアンスは複雑化するばかりです。各国政府が、突如として短期間で大量のデータ提供を求めるようになった現在、企業はこうした厳しい新たな税務報告義務に対応するためのシステムとプロセスを導入しなければなりません。 

税務・電子インボイスのテクノロジーは、データの収集と適切なフォーマットや方法で税務当局に提出するプロセスを自動化し、コンプライアンスの効率化を確実にサポートします。ただし、テクノロジーを採用する前に、コンプライアンス担当者が直面する課題や、これらの問題に対して多くの企業が取り組んだが成功しなかった地域ごとの異なるアプローチよりも、普遍的なテクノロジーソリューションが適している理由を理解することも重要です。

電子インボイスの義務化:身近な国でもまもなく現実に 

世界中の各国が取り組んでいるデジタル化のひとつに、電子インボイスがあります。これは、企業の取引データを自動的に政府に報告する仕組みです。今後2年以内に、十数ヵ国以上(フランス、スペイン、ベルギー、ポーランド、日本など)が電子インボイスの義務化を予定していますが、国によって制度が異なるため、コンプライアンス準拠はさらに難しくなります。 

電子インボイスは不正を回避し、透明性を高め、付加価値税(VAT)や物品税(GST)の正確かつ迅速な報告を政府に支援します。しかし、企業のERPなどの財務プラットフォームと政府のネットワーク(PEPPOLなど)をある程度連携させねばならないため、電子インボイスには互換性という問題が伴います。EUなど、世界の一部の地域では、電子インボイスの要件の枠組み(デジタル時代のVAT)の策定を試みていますが、現時点で明確な規格はありません。企業は事業を展開している国の報告要件を把握せねばならないだけでなく、オンライン化に乗り出す国が増え、その規則も国によって異なるため、規制の変更にも注意する必要があります。 

電子インボイスとリアルタイム報告 

リアルタイム、あるいはほぼリアルタイムでのVAT報告を企業に求めるリアルタイム報告と電子インボイスが併用されるかどうかは、国によって異なります。 

リアルタイム報告により、政府は企業の取引と同時に取引データにアクセス可能となります。この前例のないアクセスを促進するためには、企業と政府のシステムを常時通信できる状態にしておく必要があります。リアルタイム報告と電子インボイスを併用している国では、販売側は多くの場合、販売を実行する前に政府機関に電子インボイスを送り、承認を得ねばなりません。 

リアルタイム報告は、リアルタイムでの取引監視などの即時データ交換のように、常時接続状態にあるコンピューターシステムの統合なしには不可能です。複雑化への対応と税務部門が報告義務を果たすための作業スピードは、このような目的に叶った専用テクノロジーの利用によってのみ可能です。 

コンプライアンス管理 

複雑さが増す別の領域として、コンプライアンスプロセスの管理が挙げられます

例えば、30ヵ国で事業を展開する多国籍企業(MNC)は、各法域の規制変更だけでなく、それぞれのデータフォーマット、申告要件、期日を把握しておかねばなりません。このような状況下でコンプライアンスに準拠するために、企業の税務部門は国別に税務ワークフローを設定し、地域税法の重要な変更を監視するシステムを整備する必要があります。 

そして、このように異なるコンプライアンス義務を果たすのに必要なあらゆるデータの収集、集約、確認を手作業で行うのは、多大な時間を要し、ミスの可能性も過度に高まる恐れがあります。現在の市場だけでなく、新たな市場への進出においても、新たな法制度への対応は困難を伴います。 

コストの増加 

スピードや複雑性の増加とともに、グローバルコンプライアンスのコストも上昇しています。大量のデータを短期間で求める傾向はますます拡大し、作業量の増加が管理に必要なリソースを上回るため、企業が手作業でのプロセスや複数の異なるシステムを超えて進化しない限り、税務部門とそれを支えるITリソースには大きな負担がかかる可能性があります。 

適切なツールを使用せずに必要な速さに対応しようとする試みは、最終的にはミスにつながり、調査と修正にコストがかかります。さらに、どのような理由があっても、コンプライアンスの違反は多くの国で業務契約締結の障害となり、正確でないインボイスは罰則などの事業制約を引き起こしかねません。 

自動化のメリットとは? 

世界中の各国政府が税務とインボイスのコンプライアンスのデジタル化を進める中、多国籍企業はこれらのプロセスのすべて、あるいはほぼすべてを自動化するプラットフォームへの投資を検討すべきです。 

正確で適時な報告の他にも、IDTソフトウェアは以下を支援します。 

  • コンプライアンスにかかるコストの抑制 
  • 想定外のキャッシュフロー問題の排除 
  • 罰則・罰金の回避 
  • 全体的なリスクの軽減 
  • 税法の変更の把握 
  • 通常の事業活動の中断の回避 

質の高いソリューションなら、企業のERP・財務システムと政府のネットワークや顧客の請求書システムとの連携が可能です。さらに、税務プロセスの主要要素をデジタル化・自動化するとワークフローが効率化するため、税務チームは企業に価値を付加する業務や分析に時間を割けます。 

変化する世界での電子インボイスと税務コンプライアンスには費用と時間がかかりがちですが、適切なソリューションがあれば、そうとも限らないのです。 


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