DAC6のレポート要件のコンプライアンスは複雑です

欧州連合(EU)の2018/822/EU 通称 DAC6により、2020年7月1日から新しい法人税報告義務が発効します

DAC6が発効されました。欧州連合(EU)で事業を行うすべての多国籍企業が影響を受けます。また、銀行、法律事務所、税務アドバイザリー会社を含む企業の税務計画仲介業者にも適用されます。

DAC6は透明性を高め、脱税を抑制することを目的としています。 企業は、少なくとも1つのEU諸国に関わり、ホールマークと呼ばれる特定の基準を満たす国境を越えた税制上のアレンジメントを報告する必要があります。 税務アドバイザリー会社デロイトは、DAC6は「近年の税務顧問、サービスプロバイダー、納税者にとって最も重要な変更の1つといえるでしょう」と述べています。新しい要件に違反した場合、重大な罰金や評判リスクが発生する可能性があります。しかしDAC6のコンプライアンス要件は複雑です。

ONESOURCE DAC6 Reporterの詳細はこちら

報告要件は国によって異なります

EU指令は最低限の報告要件を定めていますが、EU27カ国の各加盟国は、現地での変動や追加の義務を実施することができます。例えば、DAC6は直接税と国際的な取り決めを扱っていますが、一部の法域では、付加価値税(VAT)と国内の取り決めにまで範囲を拡大しています。

DAC6に準拠することには確かに課題があり、最初は非常に難しいと思われます。27カ国に個別に報告する必要があるだけでなく、各国が独自のルール、独自の報告フォームと報告形式を持ち、税務当局に記入済みフォームを送信するための独自の仕様を求めることができます。

Gratian Joseph, Orbitax CEO

ポーランドは国境を越えた取り決めだけでなく、国内の取り決めめまで報告要件を大幅に拡大しました。また付加価値税もカバーしています。 各報告書には、EU指令が指定するよりもはるかに多くの(申告者がポーランド政府に提供しなければならない情報)があります。またオランダの報告スキームを見てみましたが、(報告可能な国境を越えた取り決めの)関係者の実際の組織図を求めているようです。

Carol Chamberlin, Orbitax Managing director

振り返る、そして将来を見据え

新しい規則は7月1日に施行されますが、最初の報告書は7月30日に納税者と仲介者から提出されるため、過去2年間に発生したすべての報告可能な国境を越えた税制上の取り決めをカバーする必要があります。

手配に関連する取引の年次報告書は12月に締め切られます。 ここでも、各国の規則はEU指令の報告要件から外れています。「国境を越えた取り決めを考える際には、国ごとの適用に対応する必要があります。7月に提出した後、申告基準を満たした国境を越えた税務上の取り決めは、実施の準備が整ってから30日以内に報告しなければなりません。

また7月までの間、法人納税者は遡及報告義務を履行することが必要になります。その後は通常の報告義務を継続的に管理するためのシステムとプロセスが必要となります。

遡及報告義務があるため最初の期日の前に考慮すべきことが多くがあります。そしてその後、コンプライアンス要件に沿った、通常業務プロセスが必要です。 30 日ごとのレポートの要件を満たす必要があります。

Carol Chamberlin, Orbitax Managing director

データ収集の障害

運用上の課題は、法人税部門にとって急務です。報告可能な国境を越えた取り決めを個別に提出する必要があることを考えると、報告の頻度が問題になります。年に一度だけではなく、複数の国・地域への報告頻度が多くなる可能性があります。

また、実施の準備ができてから30日以内にアレンジメントについて報告する必要があるため、ERPシステムに反映される前に報告期限が来てしまい、必要なデータをダウンロードすることができない可能性もあります。

実際、データ収集には、広範囲にわたる部門が関わってきます。探しているデータは、M&A取引、国境を越えた支払い、人員の移動、さまざまな財務活動、移転価格に影響を与える活動の変化などをカバーしています。税務部門の外で行われている業務である可能性があり、多国籍企業内の適切な人々にアクセスし、タイムリーな質問をして、(事業活動)が計画されているかどうかを判断することが必要です 。

データを分析して報告する必要があるかどうかを判断し、報告する国を決定し、フォームに入力し、税務当局に送信するまでを30日以内に行う必要があります。

ワークフロー プロセスの開発

Orbitaxは、納税者が報告可能な活動を特定するために必要なデータを収集するために「事前手配段階」から始めることを推奨しています。 手順には、次のことが含まれます。

  • 税、財務、戦略、人事、業務など、さまざまな地域や機能の関連データの内部キーパーを特定します。
  • 税の取り決めを識別し、それらが報告可能な活動の基準を満たしているかどうかを判断するために質問項目を設定します。
  • 30 日間の期間内にレポートを提出できるように、質問項目の回答を毎月求めます。
  • これらの手順を継続的に効率的に完了するには、新しいワークフロー (複数のワークフローが必要) を確立する必要があります。

メキシコやノルウェーを含む非EU諸国も同様の報告体制を模索しています。これはほんの始まりに過ぎないかもしれません。


ONESOURCE DAC6 Reporterの詳細はこちら

ビジネスインサイトを購読

業界最新トレンド情報をアップデート