リーガルテック実装の秘訣

私はこの仕事が大好きです。最先端のテクノロジーに触れる機会があり、ストレスを感じている弁護士を助け、より優先順位の高いことに注力できるようサポートできるからです。

私自身、ユニリーバのGCとして彼らの立場に立ってきたので、彼らの苦境に共感できます。仕事量は増え、一日の仕事時間も増え、世界的なパンデミックへの不安、在宅勤務やリモート会議の呼び出しなど絶え間ないベルトコンベアに載せられている気分でしょう。

周りの世界は急速に変化していますが、法律の専門家たちはまだ新人の頃と同じ手法で業務を行っていることが良くあります。自分の管理案件を把握し、ボタン一つですべての契約書に含まれる相対的な商業的リスクを理解することは、まだまだ先の話かもしれません。しかし多くのインハウスロイヤーはリーガルテックに大きく期待していることは確かです。

GCや法務業務の責任者は2つの厳しい現実に直面しています。何もしないということはもはや現実的ではありません。しかし法務部門がまず行うべきことは影響力が大きく、かつ予算内で迅速に実行できる必要があります。

変化の計画表を作成する

変化に対する計画表を作成することは重要です。 財務担当者が投資収益率を明確にするのに役立つだけでなく、主要なマイルストーンとチェックポイントを備えたプロジェクト管理計画を作成します。 私の仕事は、リーガルテックエンジニアであると同時に、変更管理と予定管理をサポートすること(何をいつまでに達成できるかについて現実的であること)です。

どのようなテクノロジーを導入するのかはその仕事に寄ります。たとえ世界最先端の技術が導入されたとしても、内部関係者がプロジェクトに参加していなければ、それが受け入れられないこともありえます。

私は先日、1999年に書かれたFinancial Timesから、SYKEの同僚が共有した記事を読みました。 21年が経過していますが、多くのテーマは今でも通用するものでした。技術は進歩しましたが、人間の行動は進歩しなかったことを強調しているといえるでしょう。

記事(「情報管理の習得-テクノロジーではなく使用の管理-塹壕からの眺め」)で、著者は、従業員が効果的な利用習慣を身に付けるのをサポートするため、企業は時間をかけてリソースを提供すべきだと述べています。つまりテクノロジーそのものではなく、その使用方法、利便性を評価し、ITを有効活用する必要があるのです。

記事ではさらに「問題は、テクノロジーの使用を管理するのがあまり得意ではないということです…私たちは、さまざまに変化する目的を達成するためにテクノロジーに従事する、目的があり、知識が豊富で、適応性があり、独創的なエージェントです。テクノロジーが目的達成のために役立たない場合、放棄するか、回避するか、変更するか、または目的を変更することを考えます。」と述べています。

言い換えれば、リーガルテクノロジーエンジニアやチェンジエージェントとしての私たちの役割は、法務業務の負担を軽減する技術を適用し、時間を節約し、より戦略的で興味深い業務に法務担当者を集中させるため、反復的な低価値のタスクを取り除くことであるといえるでしょう。

そのため、私の役割は聞き役になることが多いです。大規模で複雑な業務において、関連するチームや関係者の方々とじっくりと向き合い、彼らが解決しようとしている問題を把握します。しかし、重要なのは、彼らが適切な出発点を選び、自動化やテクノロジーを使って強化したいと考えているプロセスが目的に合っているかどうかを確認し、その上で、その仕事に適したツールを導入することです。

選択されたテクノロジーが何であれ、常に以前よりも優れている必要があります。 手作業がデジタル化よりも簡単である場合、人々は変更に反対するでしょう。しかし対照的に、取扱説明書を読まなくてもiPhoneで実行できるとしたら、10回のうち9回は実行されるように、受け入れられやすいのです。

“また組織における「羨ましい」という感情を過小評価してはなりません。 法務チームが弁護士と話すことなく自動的にNDAを作成できるテクノロジーを持っているとわかると、突然、誰もが同じような機能を欲しがるのです。”

– Joanne Chuang, Head of APAC, SYKE

リーガルテック導入の計画

私は現在、あるITサービス会社のデジタル化のお手伝いをしています。契約と法務チームの連携方法を改善するという目的で、ロードマップの初期段階に着手しています。

以前、このクライアントのために詳細に収益に漏れがないかテストを行いました。オーストラリア国内のすべてのクライアント契約を手動で調べて、45を超えるデータポイントを抽出しました。 次に、抽出に基づいて偏差分析を実行し、彼らの標準値と我々の標準値を比較しました。その結果は憂慮すべきものでした。そのため契約とサポートを合理化するのに役立つだけでなく、承認ワークフローを管理する契約管理ツールの変換と実装に関する強力なビジネスケースが必要となり、作成しました。

たった1点のソリューションから始めましたが、それによりクライアントに更なる可能性を示し、大きな商業的利益をもたらし、より戦略的なエンドツーエンドのDXへの道を開いたのです。

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