数字だけでは測れない法務部門の価値を示す3つのプラン

社内弁護士は、「法務部門の価値をどのように示せばよいか」という問題に頭を悩ませています。残念ながら、多くの人は何から手をつければよいのかわからず、さらに悪いことに、数字や指標ばかりに目を向けてしまいます。しかし、「価値」には主観的な要素も含まれるため、測定基準中心の計画では「価値」の基本的な概念を見失うことになります。数値化ができない定性的な問題を数値や数量で表す定量的な手法で解こうとするのは、以下のような理由から間違っているのです。

認知は重要です。これもまた、価値を構成する一つの要素です。
価値は時間をかけて獲得するものです。グラフを指差して、「私たちが提供しているすべての価値をご覧ください!」と言えば済むものではありません。
価値を示すには、多面的かつ複数年にわたる計画が必要です。これはマーケティングであると同時に、魅力であり、そして数字でもあるのです。

以下に法務部門の価値を示すための3つのプランを紹介します。

その1:見せる

価値は主観的な部分が大きいことから、法務部門を会社に対し「売り込む」ことが最優先事項となります。これは法務部門を、「協力的で勤勉な、価値を創造し、保護する人々が集まったチーム」としてのブランドイメージを構築するための長期的な努力なのです。

  • 「ソフトスキル」を重視しましょう。多少の愛嬌、少しの敬意、そしてひとつまみの「P.T. バーナム」的なエンターテイナー性は、社内における法務部門の印象を左右します。相手の話によく耳を傾け、共感を示し、そして役に立ちたいという熱い思いなどのソフトスキルを発揮しましょう。すべての人が重要ですが、CEO、CFOなど最も重要な人物に焦点をあて、彼らが法務部門に満足していることを確認しましょう。
  • 「サービス第一」の姿勢が、顧客の満足につながります。事業部門において、法務部のメンバーが実際にどの程度の弁護士なのかについて、認識している人はまずいないと理解してください。彼らが知る限り、あなたのチームが国内で最高の法務チームなのです。このことを利用して、彼らに法務チームを好きになってもらいましょう。そのためには、多くの「物事を成し遂げる」結果と顧客サービスが必要ですが、あなたの側にもちょっとした巧みなセールスマンシップが必要です。あなたが目標とするべきは、法務チームと接した社内の誰もがポジティブな経験を得られるようにすることです。
  • 法務部の価値はこの他、事業がどのように運営されているか(つまり、会社の製品やサービス、ビジネスモデル、主要な顧客や競合他社、ベンダーなど)を弁護士がどこまで理解しているかどうかにも左右されます。つまり、会社の戦略や事業計画を読み、市場について常に最新の情報を入手することです。会社の事業に関してあなたが持っている知識は、重要な場面で発揮され、最終的に事業部門は、単に書類を押し付けるだけでない、それ以上の価値がある法務チームを擁していると理解するでしょう。企業にとって、事業部門が直面する問題や脅威、機会を理解し、それゆえに事業の成功に関わり、投資する法務チームを持つことほど価値のあることはありません。
  • 価値を証明する法務部門とは、一貫性、そして緊急性をもって、物事を成し遂げる部門です。「無理です。それは出来ません」という言葉を聞くためにあなたを雇う人はいません。企業は、物事を成し遂げる方法を見つけるために、すべての創造性を発揮するために、あなたを雇ったのです。チームの誰もが、このことを理解する必要があります。

その2:伝える

  • 現代の法務部門が生み出す価値を、事業部門が自発的に認識するのを待っているだけではなく、時には、部門がどのように貢献しているかを伝える必要があるでしょう。たとえば、法務チームの重要な成果に関する報告書を作成し、毎月シニアリーダーに配布する、また何か本当に良い成果があった場合は、事業部門の適切な人物にすぐに知らせるようにするなどです。大きな契約、訴訟、買収、回避された問題、コンプライアンス問題の解決、規制問題の解決などについて、リーダーのスタッフ・ミーティングを利用して報告しましょう。危機が起きた場合には、これを利用して、迅速に事態の収拾を行うことで自らの価値を示すこともできます。チームの価値は企業内に浸透していき、最終的に、法務部門が何をしているかを知れば知るほど、法務部門に対する好感度が上がるのは明らかです。

パート3:測定する

数字は、価値を示す役割を果たします。なぜなら、ビジネスの言語は数字だからです。賢い社内弁護士は、この言語を流暢に使いこなします。数字で価値を示すことができれば、事業部門に対し優位に立つことができるのです。

  • 重要業績評価指標(KPI)は、策定することが難しいものですが、法務チームが生み出す「価値」を示すことができます。事業部門がKPIを求めているならば、彼らが求めるものに応えましょう。実際に何を作成するかよりも、効果的に見えるものを作ることの方が重要となる場合があります。要するに、事業部門が関心を持つ情報(法務関連支出や契約など)を提供できるのであれば、どんな書式でKPIを作成してもよいということです。この機会に、法務チームのストーリーを、あなたが伝えたいように伝えましょう。最高のKPIとは、例えば法務関連支出の規律、契約の完了、訴訟の成功、コンプライアンス、知的財産の創出など、価値を生み出すものに焦点を当てるものです。
  • 事業部門は、ベンチマーク・データを好みます。対比するデータは、内部データ(前年など)でも、外部データ(自分で見つけた、あるいは購入したもの)でもかまいません。ただし、後者は難しい作業となるでしょう。なぜなら、あなたの部門と似た特徴を持つ他の法務部門であって、あなたの会社の事業と複雑さが似通っていて、あなたに期待される法務業務の種類に正確に対応するものを見つけることが困難だからです。もしあなたが対比の対象を思いつかなかったとしても、他の誰かが思いつくでしょうが、それは参考にならないかもしれません。ですから、ベンチマーク・データを探す、または作成することを優先してください。適切に使用すれば、ベンチマークは「市場水準」に達しているかどうかを示し、修正が必要なものに的を絞る上で役立ちます。重要なことは、データを使って、法務部門が何かを修正したり、改善したりするために行動していることを事業部門に示すことです。
  • 法務部門の価値を数値で示すには、社内の顧客満足度が重要です。そのためには、定期的に満足度を測定し、法務部門が事業部門にとっての重要事項に尽力しているかどうかを確認することが必要です。「価値」を知るために、以下のようないくつかの重要な質問を盛り込んだ、顧客満足度調査を実施しましょう。
  1. 法務部門は付加価値をもたらしていますか?
  2. 法務部門は正しいことに専念していますか?
  3. 来年、法務部門は何に注力すべきですか?
  4. 法務部門は一緒に仕事をしやすいですか?
  5. 主要な「価値」の属性を、スケール上で評価してください(スピード、ビジネス条件のサポート、実務的なソリューションなど)

その結果をもとに、事業部門が抱える懸念事項を把握し、それに対応する計画を立てることができます。さらに重要な点として、その結果を、フィードバックに基づいて法務サービスの提供を改善する計画とともに、事業部門に報告することができます。これこそ、事業部門が求めるもの、つまり、数値に基づく絶え間ない改善なのです。

法務部門の価値を示すといっても、特効薬はありません。それは時間をかけて粘り強く行う、さまざまなステップの積み重ねです。忍耐強く、日々、価値認識を高める努力をしなければなりません。法務チームの全員が、価値とはダイナミックで常に変化するものであり、なぜ価値を証明することが部門の成功にとって非常に重要なのかを理解する必要があります。たった一度の悪い経験が、何ヶ月にもわたる努力を水の泡に帰すこともあるからです。

著者: スターリング・ミラー

3度のゼネラルカウンセルを経験し、約25年間を企業法務部に勤務しました。4冊の本を出版し、受賞歴のある法律ブログを執筆しています。そして、トムソン・ロイターにも頻繁に寄稿しています。


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