シスコ社の経営理念と企業風土:従業員エンゲージメントとウェルビーイングの促進

法務部門が企業の理念や行動指針に働きかけ、従業員エンゲージメントを高めるためにどのような支援ができるのか。シスコ社のデヴ・シュタルコフ氏のインタビューをご覧ください。

企業を対象とした調査では、経営理念や企業風土が従業員エンゲージメントや社員の幸福感を高める関係があることは周知のとおりです。今回は、クライアントスマート社のCEOであるローズ・オーズ氏が、シスコ社のエグゼクティブ・バイス・プレジデント兼最高法務責任デヴ・シュタルコフ氏に、同社の理念である「すべての人にインクルーシブな未来をもたらすこと」と「意識の高い文化」という基本方針が、実際にどのように実践されているかについて話を伺いました。また、この指針を支えるためにシュタルコフ氏が実践していることを、彼女の価値観やリーダーシップスタイルと合わせてご紹介します。 

シスコの経営理念は、会社の活動にどのように反映されていますか? 

入社して間もない私は、当社がどのように理念を実現しているのか、まだ完全には把握できていませんが、会社の風土にはそれがはっきりと表れています。外側に目を向けると、会社がすべてのステークホルダーの利益のために存在していることを深く認識し、積極的に取り組んでいることがわかります。つまり、私たちの技術や専門知識を共有して、地域社会の人々の生活を向上させているということです。また、他の組織と協力して、世界的な飢餓などの問題に取り組んでいることも意義があることと言えるでしょう。今後も、会社の基本方針に沿って企業活動を推進するにあたって、従業員の力を最大限に発揮していきたいと考えています。 

法律部門はどのように地域社会に貢献していますか? 

法律部門は、プロボノの法律サービスを提供することで、身近なコミュニティに貢献しています。シリコンバレー法律財団と長年パートナーシップを組み、低所得者層の顧客が家主と借主の間のトラブルなどの法的問題に対処するのを支援しています。私自身はプロボノ運営委員会と協力して、プロボノプログラムをどのように拡大し、会社の社会的責任の目標に沿ったものにしていくかを検討しています。 

当社の法務チームは、私が理事を務める法律上の多様性に関するリーダーシップ協議会(LCLD)などの外部組織への参加を通じて、より広いコミュニティに貢献しています。LCLDは、350人の企業の最高法務責任者と法律事務所の幹部で構成されており、法律業界における多様なリーダーのパイプラインを増やすという共通の目的のために協力し合っています。私がLCLDの一員であることを誇りに思う理由のひとつは、各メンバーが、自分が誓った結果に対して責任を負っていることです。私の個人的な誓約には、雇用の多様性を高めるための多様な採用条件、キャリア開発の機会の透明性の向上、すべての上級職に対する多様な後継者計画の実施、リーダーのパフォーマンスの期待値に多様性とインクルージョンを盛り込み、説明責任を推進することなどが含まれています。 

シスコ社 エグゼクティブ・バイス・プレジデント兼最高法務責任
デヴ・シュタルコフ氏

従業員の力を最大限に引き出すことで、シスコ社は「すべての人にインクルーシブな未来をもたらす」ことができるとおっしゃいました。その理由は何ですか? 

従業員が自分の可能性を十分に発揮すればするほど、生産性が向上します。従業員の生産性が高まれば高まるほど、当社はより大きな成果を上げることができます。そのためには、従業員が潜在能力を発揮できるようにする必要があります。 

私が言う生産性とは、単に売上高や契約数、コードの行数などではなく、もっと広い意味で、仕事の質や革新性を高めるための持続可能な従業員体験だと考えています。このような持続可能な経験を開発するには、従業員の幸福感について広く考える必要があります。 

そこにコンシャスな文化が生まれるのですね。 

そのとおりです。当社の企業風土とは、人々にポジティブな影響を与える、包括的で多様性のある環境を作ることです。我々の文化は、リーダーや同僚との日常的な交流を重視しています。当社の職場風土が「コンシャス(意識的)」なのは、何がうまくいっていて、何がうまくいっていないのか、どうすれば改善できるのかを社員が意識し、同時に個々に説明責任を果たすことを求めているからです。単なる包括性や多様性の概念を超えて、どのような行動を取るべきかを個々が判断することが求められるのです。 

従業員の幸福度を高め、従業員が潜在能力を最大限に発揮できるように構築された会社のプログラムには、どのようなものがありますか? 

私たちは、「マルチプライヤー効果(TME)」という当社のスポンサーシップ活動に参加しており、すべてのリーダーに、性別、人種、文化、世代、志向性、民族など、何らかの面で自分とは異なる個人を1人以上スポンサーするよう求めています。TMEでは参加者に提唱者としての露出度を高め、他のリーダーとの接点を積極的に増やすよう求めています。 

私たちのデータによると、2017年にこのイニシアチブが開始されて以来、TMEは、スポンサーになったリーダーの数と、スポンサーを得た社員のキャリア軌道へのポジティブな影響という2つの面で期待以上の成果を上げています。 

スポンサーを獲得した社員にはどのような影響がありましたか? 

データによると、このプログラムでスポンサーを獲得した社員は、獲得しなかった社員に比べて、平均して1.5倍も昇進する確率が高くなっています。また、黒人やアジア系の社員(2.7倍)やヒスパニック系の社員(3.2倍)など、特定の社員の昇進率が特に高くなっています。 

従業員のウェルビーイングプログラムについて説明してください。 

パンデミックによる継続的なストレスに対応するために、当社では「A Day for Me」プログラムを展開し、社員全体のメンタルヘルスを育成・支援しています。このプログラムでは、数週間前から、会社が指定した有給休暇を取ることを奨励していますが、これは実質的に社員の心身の健康のための追加的な休暇です。

次に法務部門に話を移しますが、ポジティブでインクルーシブな環境を醸成するために、法務部門のチームとの日常的なやり取りの中で何をしていますか? 

私たちは皆、自分の職場で自分の存在が重要だと感じ、見守られ、評価され、尊重される必要があるのです。私がチームのメンバーを見ていること、気にかけていることを伝える方法のひとつは「傾聴」です。深い傾聴とは、相手の話を遮らずに集中し、相手が話し終えるまで自分の返事を考えないことです。どのような形の会話であっても、全員が善意であることを前提とします。そして問題や機会を共有している場合は、最後に「どのようにサポートできるかしら?」と尋ねるのです。 

もうひとつの方法は、感謝の心を持つことです。私は、リーダーシップチームのミーティングのたびに、私も含めて一人ひとりがその日や週に感謝していることを共有するようにしています。多くの場合、共有される内容は個人的なものです。そして、その共有内容は仕事のことばかりではありません。実際、人々は個人的な話を共有しますが、それは簡単なことではありません。 

この練習によって、私たちは立ち止まって考えることができるだけでなく、心理的に安全と感じられる空間でお互いに弱音を吐くことができるのです。 

あなたが感謝の気持ちを表している間は、他の人たちも率直で無防備な状態になれるのではないでしょうか。 

そのとおりです。これは、私がこれまでのキャリアの中で学んだ教訓です。私がこれまで一緒に仕事をしてきた最高のリーダーたちは、「今週は大変だった」「人生でこんなことがあって、会議中に少し抜けていたことを謝ります」と平気で言える人たちでした。彼らがオープンであるからこそ、他のメンバーも率直な意見を述べることができるのです。 


企業が従業員エンゲージメントやウェルビーイングを実践するには、デジタル化による生産性の確保が前提となります。業務の効率化は社員の幸福度とビジネスの成長の鍵となっています。是非、法務業務の管理ソリューションの導入をご検討ください。

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