Gen AIは専門家の業務時間を年間200時間節約すると試算

ジェネレーティブAI(GenAI)が仕事の世界に革命をもたらし、その形を変え続ける中、トムソン・ロイターはグローバル版「専門家未来レポート2024」を発表しました。

この調査では、ジェネレーティブAIの影響、AIツールがワークフローにどのように適しているか、AIガバナンスで考慮すべき事項などについて、世界中の専門家を対象にアンケートを実施しました。

AIは「良い方向に働く」

AIを取り巻くポジティブな意見は、拡大し続けています。今回調査によると78%の専門家が、AIは自身の職業において「良い方向に働く」と考えています。専門家向けのAIアシスタントは、職場で広く受け入れられるようになってきました。しかし、GenAIのツールやシステムを業務プロセスに統合することは、雇用主がAIリテラシーとユースケースに関し、継続した教育の投資の必要性があることを意味します。

業務プロセスにGenAIを組み込むことのメリットは、幅広い業種に適用できることです。調査対象となった専門家の約77%は、ツールやシステムが日々の業務負担を軽減するよう設計されていることから、GenAIを前向きに捉えています。

トムソン・ロイターのスティーブ・ハスカー社長兼CEOは、「専門家はもはやAIの潜在力について疑念を抱く必要はない。近年、生成人工知能(GenAl)が専門家のキャリアにどのような影響を与えるかについて、多くの議論がなされている。今、彼らはその効果を目の当たりにし、その多くがこの技術を実際に使っている。」と述べています。

年数百時間を節約するGenAI

専門家未来レポートによると、GenAIアシスタントを活用し仕事を最適化することで得られる生産性の向上は、専門家1人当たり年間約200時間の作業時間節約に相当すると言われます。「急速な普及が進み、専門家たちがAIを使用した様々な実用例を見出す中、私たちはこれらの産業、そして経済全体にとって刺激溢れる時代を迎えようとしている。」とスティーブは付け加えました。

今回調査した専門家たちは、「重要な時間の節約」が最優先事項のひとつであることを明らかにしました。調査に共通するこの傾向は、管理業務がより高度な仕事をするため常に障害となっていることを示しています。

調査対象は、50カ国の2,200人の専門職とCレベルの企業幹部です。この調査で注目すべきは、専門家が時間からの解放というニーズと願望です。

AIは日本の労働力不足を解決できるか ~GenAIサポートに前向きな日本のプロフェッショナル~

日本企業は、人口減少による雇用不足に直面しています。国連は、2050年までに日本の総人口が1億490万人に減少すると予測しており、生産年齢人口と定年人口の比率に大きな影響を与える可能性があります。労働力と技能の不足を管理するため、AIがその解決策になるとしたらどうでしょうか。

今年5月に公開された専門家未来レポート アジア・新興国市場版では、日本を拠点とする専門家の半数以上にあたる62%が、GenAIの業界への導入に前向きであることが分かりました。また、これらの回答者はGenAIツールが自身の企業や部署、職種に新たなプレッシャーや課題をもたらすと考えていません。

早稲田大学の理事で、イギリスのオックスフォード大学サイード・ビジネス・スクールの経営学教授である酒向真理氏は、「労働力不足はオートメーションによって解決できる可能性があり、機械が人間をサポートすることで効率的な仕事ができる。」と考えています。また「ロボット、チャットボット、Gen AIアシスタントなど、あらゆる種類のマシンを導入し労働者が新しいスキルを学び、起業家的なアイデアを実行したり、既存の仕事をより生産的にこなせるようにすることで日本が優位性を保つことを願っています。」と、酒向教授は述べました。

早稲田大学理事、オックスフォード大学経営大学院教授 酒向真理氏 

グローバル版「専門家未来レポート2024」を是非ダウンロード下さい。

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