ESGとグローバルサプライチェーン 

世界中のサプライチェーンの混乱が毎日のようにニュースになる中、グローバル企業はサプライヤーのESG問題からもプレッシャーがかかっています 

新型コロナウィルス感染症の流行が始まってからというもの、企業(特にグローバル企業)の課題は数多く、パンデミックがもたらす経済的、政治的、社会的な影響は、今後も引き続きビジネスの継続を妨げる要因となるでしょう。 

世界中に影響を与えている地球規模のサプライチェーンの混乱についてほぼ毎日のようにニュースが報じられています。建材用の木材や、自動車や携帯電話の製造に必要なマイクロチップなど、主要かつ一般的な家庭用品の生産には、依然として制約や課題が残っており、場合によっては悪化していることもあります。このような状況は、ビジネスにおいて大きな頭痛の種となっています。 

そこで、一部の企業は、サプライチェーンの課題を解決するために、従来は他社に委託製造していた部品を自社で製造するなど、独自の方法を模索しています。例えば、電気自動車メーカーのテスラ社は、コンピューターカーのチップを自社で製造しています。しかしほとんどの企業は、部品メーカーから調達するはずの部品を自社生産する余裕はないのが現状です。 

必要な部品を自社生産したくない、できないという企業にとっては、サプライチェーン上のベンダーの数を増やすという策があります。しかし、その策はリスクを伴います。実際、ベンダーの数が増えれば増えるほど、企業はコンプライアンスの確保が必要になります。ベンダーの質が自社の業務の質と直結するという考え方は、今やスタンダードになりつつあるのです。 

ESGのビジネス課題        

企業は、顧客のニーズを満たすことでビジネスを継続するのと同様に、環境、社会、コーポレート・ガバナンスに関する基準を守るという、新たなコンプライアンス課題とのバランスを取らなければなりません。多くのグローバル企業にとって、当初はオプションであったコンプライアンスの問題が、今では必須条件となっています。小売業から石油業まで、企業は株主のために利益を上げるだけでなく、顧客、従業員、事業を展開する地域社会の人々など、他のステークホルダーのニーズにも配慮することが求められています。 

現在、これらのステークホルダーは、購買力やその他の影響力によって企業に倫理的な行動を促し、企業活動に影響を与えています。さらに、一部の国や地方自治体では、規制やコンプライアンス要件を制定し、企業がビジネス戦略としてESG課題を重視するよう促しています。 

企業がESG戦略を策定・実行する際に、潜在的な脆弱性がある分野の一つが、グローバルサプライチェーンです。プライチェーンは、天然資源の枯渇、人権侵害、トップレベルの汚職など、ESGに悪影響を及ぼす隠れた制御不能なリスクに企業をさらす可能性があります。実際、グローバルブランドにとって、ESGのコンプライアンス課題最大のリスクは、サプライチェーンで発生する可能性があるとも言えます。そのため、多くの大企業にとって、サプライチェーン上のベンダーやその他の取引先の管理は、非常に重要になっています。 

しかも、「平時」でさえサプライチェーンのベンダーを管理するのは困難なのに、リソースが不足しているパンデミックの最中にベンダーを完璧に管理しようとするのは不可能に感じられるでしょう。不可能であろうとなかろうと、企業はサプライチェーンの透明性を確保しなければなりません。「このベンダーがこんなことをしているとは知らなかった」では済まされないのです。多くの企業にとってこのジレンマは、ESGへの関心と導入がまだ初期段階にあるため、何をすべきかについての適切な指針がないということにあります。 

ここでは、サプライチェーンの課題と、自社のESG戦略とのバランスをとるための提案をご紹介します。 

サプライヤーのESG指標を作成する 

明確に定義されていないものや、地域や関係者によって複数の意味を持つものを測定することは困難です。また、サプライチェーン内のすべてのサプライヤーを完全に監視できるリソースを持っている企業はほとんどありません。しかし、企業がESG戦略を策定する際には、サプライヤーのESG活動を評価するための一連の指標と分析を作成することが賢明でしょう。実際、サプライ・チェーン・マネジメント・インデックスは、どのような指標を使用すべきかを決定するのに役立つツールとなります。 

常にコミュニケーションをとる 

ウォンブル・ボンド・ディキンソン社のパートナーであるグレゴリー・シャボン氏と、サプライチェーン・リソース・コーポレーティブ社のエグゼクティブディレクターでバンク・オブ・アメリカ大学オペレーションズ&サプライチェーン・マネジメント特別教授のロブ・ハンドフィールド氏は、ESG目標をサプライチェーンオペレーションに効果的に組み込むには、強力で頻繁なコミュニケーションが必要であると述べています。 

マッピング 

サプライチェーンマッピングの主な目的は、サプライヤーが不足したとき、注文がシステムに紛れ込んだとき、需要が急増したときなど、予期せぬ事態が発生したときに、迅速に対応するための戦略を構築することです。マッピングによってサプライヤーを階層化することで、「監査では発見できないサプライチェーンの弱点を明らかにすることができる」とシャボン氏とハンドフィールド氏は述べています。 

契約書の作成 

最後に、企業は、サプライチェーンのベンダーとの契約書に、企業のESG目標とベンダーに期待されることを明確に示す文言を盛り込むことができます。また、これらのESG基準に違反した場合、契約の解除につながることを明記することも忘れてはなりません。 

投資家、顧客、従業員などからグローバル企業への期待が高まるにつれ、企業は、事業を展開する現在の環境だけでなく、より広範囲の地球規模のニーズをどのように満たすかをどれだけ考慮しているかで判断され、評価されるようになっています。環境保護、社会正義への取り組み、あるいは持続可能で責任ある経営など、今日のグローバル企業には、単に製品やサービスを提供するだけでなく、より大きな役割が求められています。 


トムソン・ロイターのONESOURCE Export Complianceは、サプライチェーン全体を整理し、コンプライアンス違反、プロセス依存性、配送遅延の管理のリスクを低減します。通関手続き、スクリーニング、書類作成の管理が容易になり、輸出プロセスの様々な点を結びつけてコンプライアンスを確保できます。


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