Hilgers Graben社CEO兼シニアカウンセル スターリング・ミラー氏による製品レビュー
企業の規模を選ばないツール
Practical Lawについて、私のブログ「Ten Things」を長年読んで下さっている皆さんは、私がこのツールに対し次のような率直な思いを明かしていることをご存知でしょう――このツールは、社内弁護士や企業の法務部にとって、現在販売されているものの中で抜群に優れたツールです。社内の法務リソースに不自由しがちな中小企業にも、またより高い価値を提供するため、リソースを継続的にメンテナンスする必要がある大企業にも当てはまります。
Practical Lawを導入した法務チームは、人員を増やしたり予算を削ったりすることなく、企業の規模を選ばず、法務機能面で同じ土俵に立つことができます。規模を問わず、あらゆるチームが、簡単に仕事の質とスピードを上げることができるのです。小規模な会社では、弁護士に依頼する必要がなくなるかもしれませんし、大規模な部署であれば、より多くの仕事を社内で処理することができるでしょう。そのくらい、包括的で使い勝手の良い製品なのです。
AIでコスト削減と効率化を加速
同様に法律サービスのコストを下げ、弁護士の生産性を向上させるツールという点で、法律業界を劇的に変える人工知能(AI)の可能性に大変魅力を感じています。数年前にトムソン・ロイターに寄稿していた連載記事「Artificial Intelligence and Its Impact on Legal Technology(AIがもたらす新たなリーガルテクノロジー)」でも取り上げました。これ以降、私は弁護士の業務を支援するAIの次の大きなブレークスルーを求めて、リーガルテクノロジーの進展を注視してきました。これまでにいくつか面白いものは出てきましたが、胸が踊るようなものは一つもありませんでした――そう、あのときまでは。
ここ数週間、Practical Lawのチームが私に興味深いテクノロジーを見せてくれました。素晴らしい製品を、よりよくするツールでした。具体的には、AIを使って、Practical Lawに含まれる膨大なコンテンツを、より簡単に、より速く、より正確に検索できるようにするものです。これこそが、新しく登場するダイナミック・ツールセット(DTS)です。すべての新機能にAIが使われているわけではありませんが、この新機能はいわばコルベットにジェットエンジンを搭載するようなものと言えます。
DTSは、社内弁護士や企業の法務部門にとって初めての、まさに導入後即使用可能という意味において、「鍵を開ける」ような、画期的なAIの実用化例の一つと言えます。
Practical Lawとは?
Practical Lawは、300名を超える法務専門エディターが作成したコンテンツと、有名法律事務所の著名弁護士による寄稿で構成される、高度な法律情報ツールです。Practical Lawの弁護士エディターが法令改正を追跡し、常にすべての法令情報やコンテンツが最新の状態に更新されています。16の業務分野(訴訟、商取引から資本市場/企業ガバナンスまで)、業務横断的なコレクション(世界の新型コロナウイルスに関するリソースやスタートアップ、小規模企業)、産業部門(小売、建設、金融サービス、テクノロジー)に加え、Practical Lawでは以下の内容を提供しています。
- プラクティスノート
- チェックリスト
- ツールキット
- 標準文書テンプレートと条項
- 企業内リソースセンター
- グローバルガイドと国境間トピックス
- What’s Market
- その他多数
300人以上の専属弁護士エディターによる専門的な法律業務をAIが支援することで、社内の実務担当者は、数え切れない法務案件やタスク(契約書の作成、訴訟答弁書の作成、法律の詳しい要約など)に迅速に対応可能となります。例えばメンバーが1人しかいない法務部門を何でもこなせる法務のエキスパートに変貌させることができます。そして、数分とは言わないまでも、数時間で専門的な法的ガイダンスを提供できるようになるのです。
新機能ダイナミック・ツールセット(DTS)
Practical Lawの現行バージョンは素晴らしいものですが、新しいダイナミック・ツールセット(DTS)を使えばより使いやすいものとなります。DTSが導入される以前、ユーザーは検索ボックスに基本的なクエリを入力し、Practical Lawのコンテンツへの長いリンクのリストが表示され、やっとPractical Lawの探索を開始することができました。ユーザーはそれらのリンクに逐一目を通し、問題解決に最も役立つと思われるリンクをクリックしていたのです。
ダイナミック・サーチ
Practical Lawの開発メンバーは、その強力な検索機能にAIを組み合わせました。「ダイナミック・サーチ」を使えば、検索ボックスに質問を入力すると(「Google検索」を想像してください)、その質問に関連するPractical Lawリソースへのリンク(これまでと同様のもの)が返されるだけでなく、質問に直接答える資料も提示されます。以下のようなコンテンツが表示されます。
- エディターによる回答の要約(Practical Lawのエディターが書き下ろした新しいQ&Aコンテンツタイプ)。
- AIによる「アンサーカード」(最大3枚)。それぞれ3枚が、Practical Lawのリソースの中から、あなたの質問に最もダイレクトに答えている部分をハイライトして提示します。
- 従来と同じ、質問に対する回答として可能性があるPractical Lawの全コンテンツへのリンク集(テンプレート、プラクティスノート、チェックリストなど)。
以下は、合併の種類について検索した場合のスクリーンショットです。
AIによる検索とPractical Lawコンテンツの最強の組み合わせは、規模の大きい法務部門で多忙を極める社内弁護士にとっても、中小企業オーナーに雇われる弁護士の双方にとっても大きなメリットといえます。この組み合わせにより、法務問題に対して、包括的な回答が迅速にできるようになり、提供された資料と回答によって法務部門は社外弁護士に匹敵するような仕事が可能になります。
ナレッジマップ
AIを使用するダイナミック・サーチと同じくらい私が気に入っているのが、このナレッジマップ機能です。ナレッジマップは、弁護士のためのデータ可視化ツールであり、検索を入力すると、Practical Lawに含まれるリソースや関連トピックのコレクション全体を視覚的に素早く把握できます。最も重要なのは、ナレッジマップによって、検索を開始した時点では見落としていた、あるいは考慮していなかった問題を確認できることです。例えば、「IaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)」と「PaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)」の契約の違いについて検索をかけたところ、次のような初期ナレッジマップが表示されます。
視覚性に優れたマップにより、利用可能なすべてのリソースをカテゴリーごと(標準条項、ツールキット、チェックリスト、プラクティスノートなど)に一目で確認することができます。リソースをクリックするとそのコンテンツが表示され、さらに関連するコンテンツが自動的にマップに追加され、確認することができます。ここで、Practice Note Cloud Computing: Understanding the Legal and Business Issues(プラクティスノート「クラウドコンピューティング:法務と事業の問題について理解する」)をクリックすると、次のような追加コンテンツと検討すべき課題が表示されます。
このマップを使えば、関連する多様なトピックやリソースを素早く見て回ることができます。またその際、ユーザーがどのページを訪れたかをツールは記録しているため、問題解決に最も役立つと思われるリソースを常に選択し、かつ簡単に戻ることができるのです。
インタラクティブ・マターマップ
インタラクティブ・マターマップ機能を使うと、プロジェクトを最初から最後まで完了するために必要なタスクとフェーズのリストを、Practical Lawのリソースへのリンク付きで作成することができます。異なるテーマのカテゴリーに予め用意されているプリセット・マップを使用することもできますし、もちろん独自のインタラクティブ・マターマップを作成することもできます。たとえば、既存のインタラクティブ・マターマップを連邦開示手続きで使用する場合、次のように表示されます。
ここでは、タイルを自分の案件に合わせて並べ替えたり、タスクを色分けしたりすることができます。タイルをクリックするとPractical Lawのリソースのリストが表示されます。例えば、上図の列3にある「Issue Document Requests(文書リクエストを発行)」からは、文書リクエストの作成に関するテンプレートやその他の資料へのリンクが表示されます(その他にもハイパーリンクやPractical Lawのリソースをタイルに追加することが可能です)。また、このタスクリストをチームで共有し、タスクを割り当てることもできるので、基本的なプロジェクト管理とあわせてPractical Lawを活用することができます。
その他のイノベーション
上記の他、ダイナミック・ツールセットとして以下の2つのツールが追加されています。
マーケットアナリティクス
既存のWhat’s Marketツールは、公共のデータベースを検索し、特定の言語を含む(または含まない)契約とその特定の条項の概要をユーザーに提供するものです。このツールでは、複数の取引における条件や特徴を、その基礎となる契約へのリンクとともに分析・比較することができます。これにより、契約の中でユーザー自身や相手方が求めているものが「市場並み」であるかどうかを判断することができます。
マーケットアナリティクスは、この機能に、特定の取引や契約のサブセットに関する情報から瞬時にインサイトを導き出し、グラフとして可視化する機能を追加するものです。契約交渉の際に、このアナリティクスを利用することができます。例えば、合併契約における「交渉決裂時の違約金(break-up fees)」の範囲を知りたい場合、以下のグラフが返されます。
クイック比較
複数の州にまたがる法務関連の質問に対する答えを示すカスタムチャートを、数回クリックするだけで作成できます。例えば、フロリダ州、ニューヨーク州、テキサス州における履行不能(impossibility)、契約目的の達成不能(frustration of purpose)、そして実行困難性(impracticability)の法理の適用性を比較することができます。
これは、訴訟や紛争の分析に非常に有効であり、また、最も関心のある法的問題に応じて、どの州法を契約に適用するかを決定する際にも、活用することができます。
答えを導き出すAIの力
Practical Lawは、社内弁護士や中小企業の法務アドバイザーに、膨大なリソース資料を提供します。「どうすればいいのか」というベーシックな質問に対し、驚くほど多くのコンテンツを利用できるだけでなく、AIを利用して法務関連の質問に対する答えを導き出すこともできるようになったのです。
このことは、期限が迫っているときや、チームや幹部が答えを今すぐ要求してくるような場合に極めて有効です。Practical Lawがこれら新しいツールをどのように更新し、さらに製品全体をどのように革新していくのかは興味深いところです。例えば、トムソン・ロイターは新たなAIツール「HighQ Contract Analysis」をPractical Lawと連携させるのでしょうか? いずれ分かるでしょう。しかし、今のところ、Practical Lawのダイナミック・ツールセットが「驚嘆の瞬間」をもたらすことは間違いありません。
著者:スターリング・ミラー(HILGERS GRABEN社 CEO兼シニアカウンセル)
Hilgers Graben社における約25年のなかで、法務顧問を三度に渡り務めています。4冊の本を出版し、受賞歴のある法律ブログ「Ten Things You Need to Know as In-House Counsel(企業内弁護士として知っておくべき10の事柄)」を執筆しています。トムソン・ロイターの寄稿者として信頼されており、講演者としても引く手あまたです。また、定期的に法務部門にコンサルティングを行い、社内弁護士を指導しています。ワシントン大学セントルイス校で法務博士号(J.D.)を取得。
Practical Law Dynamic Tool Setとは
Practical Law Dynamic Tool Setは、Practical Lawの専門知識をさらに効率的に引き出すことが可能です。チャートとビジュアル化で、より深い洞察とデータおよび情報の活用をサポートします。
是非、Practical Lawの導入をご検討ください。