アジアにおけるLGBTQ平等の推進:法曹コミュニティの役割

「私たちが目を覚まして、公に自分自身を表現してもいいと思うようになる魔法の日はないでしょう。私たちは、物事があるべき姿になるまで、公に表現することによって、その日を作り出すのです。」

最初にゲイを告白した米国上院議員タミー ・ボールドウィンは述べています。

社員やリーダーが、仕事中も仕事以外でも自分らしく自由に行動できるようになると、精神的、肉体的なエネルギーが解放されます。今まで自分の一部を無理やり枠に当てはめることにより、無駄になっていたものが解放されるのです。その結果、LGBTQの同僚たちはキャリアの中で活躍し、以前は達成できないと思われていた新たなレベルの成功を手にすることができるようになってきました。

2013年から香港のLGBTQの平等を推進する上で重要な役割を果たしてきた香港LGBT+弁護士ネットワーク(HKGALA)と、LGBTQカップル、異性カップル、独身者に渡る100以上の差別的扱い事例を捉えた報告書「香港法における関係の認識と扱い」を作成した法律事務所Allen & Overyの努力の賜物です。香港のLGBTQコミュニティにとって重要な成果となりました。

 香港LGBT+弁護士ネットワークの共同議長として、アジア太平洋のゼネラル・カウンセルであるマーク・ルービンシュタイン氏は、LGBTQの平等を推進するための組織化に貢献してきました。

「主な成果は、LGBT法曹界を代表し、LGBTQの多様性とインクルージョンに関して、法曹界のベストプラクティスを作り出す組織がここにあることを市場に示したことだった」述べた時、彼はこれが強力なムーブメントであることを理解していました。

最近では、「香港におけるLGBTの平等を推進するための具体的な行動に法律事務所を参加させるための情報センターやタッチポイント」としての役割を果たしてきました。例えば、数年前、HKGALAは16の法律事務所と15の銀行を代表するグループを組織し、QTと呼ばれる事件に介入しました。

訴訟パートナーのマット・バウワー氏が機会均等委員会とのプロボノ活動として主導し、A&Oが作成した報告書のため、他の法的措置が取られる可能性がありました。例えば、破産法は、合法的に結婚している異性カップルの債権者に給付金を課していましたが、LGBTQカップルを含む非婚カップルの債権者には同じように適用されませんでした。

また、既婚者と非婚者のカップルに一貫して影響を与える点として、上場企業の取締役やCEOに本人と配偶者の株式保有状況を開示することを義務付ける法律です。この法律は取締役やCEOの民事上のパートナーの株式保有状況に関しては、その義務を拡大していないのです。

LGBTQを擁護することは、幅広い多様性とインクルージョンを強化することに繋がります。

香港でのLGBTQの平等の進展は、ダイバーシティとインクルージョン以外の分野での進展にも影響を与えています。例えば、マット・バウワーは、社内でD&Iの分野で何をすれば良いのかを考える手段として、LGBTQインクルージョンとジェンダー・ダイバーシティに関する正式な委員会の設立に向けた取り組み行いました。それにより女性やLGBTQの従業員の定着率を高めるためにできることが明らかになったのです。具体的には

  • 女性やLGBTQコミュニティのメンバーのための目に見えるロールモデルが存在するようにする。   女性にとっては、小さい子供がいるため、または妊娠中にパートタイムで働きながらキャリアを積んでいる人々にスポットライトを当てることが重要です。LGBTQの側面では、ビジネスに成功し、収益を生み出し、LGBTQのアイデンティティを隠すことなくクライアントにサービスを提供する人々を紹介することも非常に重要です
  • クライアントや競合他社と協力してD&Iの課題を推進する。地域のビジネスコミュニティ、クライアント、その他の利害関係者と協力して、特定の分野の多様性の利点をアピールすることも重要です。

香港においてクライアントや競合他社、同僚と共に多様性を主張することは、単独で行うよりも影響力が大きく、優秀な従業員を逃さない力となります。

– Matt Bower, Partner, Allen & Overy

LGBTQ平等の進展は、A&Oが行っているようなHKGALAを介した民間企業間のパートナーシップがなければ実現しなかったでしょう。またLGBTQの権利関連法案を支持する香港国民の積極的なシフトがあれば、追い風となり、差別政策の撤廃を加速させることになるでしょう。

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