将来も通用する組織を作り、その潜在能力を発揮させる方法

新型コロナウイルスの大流行は、毎日の通勤の廃止からバーチャル会議に至るまで、多くの組織のビジネスのやり方を変えました。新しい業務環境に適応することが難しいと感じている組織もあれば、この前例のない時代をイノベーションの機会として受け入れることを選択している組織もあります。

最近行われたReturn to Betterバーチャルコンファレンスのセッション「将来も通用する組織を作る:トレンド、変革、規制の変化(Future-Proofing Your Organisation: Trends, Transformation and Regulatory Changes)」では、4人の専門家パネリストが、なぜ今が組織を刷新する好機なのかについて、見解と意見を出し合いました。

このプログラムは、トムソン・ロイターのアジア太平洋地域規制情報担当マネージャーであるネイサン・リンチが司会を務め、各ゲストが特定のテーマについてプレゼンテーションを行いました。以下の4つが重点分野でした。

  • コロナ禍におけるビジネスの進化:VMWareのアジア太平洋および日本担当シニアバイスプレジデント兼GM、ダンカン・ヒューエット氏によるプレゼンテーション。

  • 将来も通用する組織を作る方法:ベンデルタ会長兼最高ポテンシャル責任者アンソニー・ミッチェル氏によるプレゼンテーション。

  • 組織内でのプライバシー管理とデータ保護の方法:ミルズ・オークリーのデジタル法担当パートナー、アレク・クリスティ氏によるプレゼンテーション。

  • 最新のデジタルトレンドから学べること:デロイトのバーチャルオフィス・マネージングパートナー、ロビー・ロバートソン氏によるプレゼンテーション。

コロナ禍にビジネスはどう進化したか

コンファレンスを始めるにあたり、ネイサンはダンカン・ヒューエット氏を招き、いかにコロナ禍が企業に対し、従来のオフィスという職場外でも効果的に仕事できるよう「根本的な変化」を迫っているかについて話し合いました。

ダンカン氏は、多くの組織がチームのオンライン移行に成功し、必要なすべてのツールをタイムリーに提供することができたと述べました。これには、教育分野に従事する企業や、健全性規制制度の下で十分に確立された事業継続義務を負う大手銀行が含まれます。

「私たちが目にしてきたのは、準備が整い、自分たちのモデルを考え抜くようになった[組織]が明らかにうまくやっており、これらの変化から実際に恩恵を受けているということです」と、同氏は述べています。

しかし、リスクのない報酬はありません。ダンカン氏は、今年に入ってハッキングの脅威が38%増加しており、プライバシーとサイバーセキュリティの脆弱性が問題になっていると述べます。

将来も通用する組織を作る

コロナ禍でも確実に成功するよう企業が試行錯誤する中、将来のための計画を立てることがこれまで以上に重要になっています。

アンソニー・ミッチェル氏は、世界的な健康危機による足元の経済的損失にもかかわらず、組織が前向きな見通しを持ち状況に乗じるにはどうすべきかについて語りました。  

「黒死病」やスペインかぜなどの歴史的な先例に基づいて、ミッチェル氏は、組織がトラウマや破滅的な出来事からいかに立ち直るかを示しました。

「既成のパターンを破壊し、社会の規範と自らの規範の両方に疑問を投げかける契機となるような地殻変動は、大きな変化をもたらします。時には、激しい揺れだけで十分なこともあります」 と、同氏は話します。

プライバシー、データ保護、サイバーセキュリティ:2020年の教訓

在宅勤務は、徐々に多くの従業員が好む勤務形態になりつつあります。この新しい柔軟性を受け入れるには、同時に、特にサイバーセキュリティにまつわる新たなリスクを管理する必要があります。しかし、もちろん、サイバーやプライバシーに関する懸念は、企業の広範なデジタルリスクとレジリエンスの一部にすぎません。

アレク・クリスティ氏は、組織が従業員をリモートワークに移行させた際、サイバーセキュリティ、プライバシー、デジタルのレジリエンスやリスクに関する失敗をどこで犯したのかを洞察しました。  これには、次のような課題が含まれます。

  • 敏捷性の欠如。
  • 重要なデータへのアクセス、更新、共有ができないこと。
  • 従業員の個人デバイスのセキュリティがほとんど、またはまったくないこと。

イノベーションとデジタルのトレンドは今後も続く

続いてロビー・ロバートソン氏は、デロイトで自身のバーチャルチームを率いた経験から得た重要な「ヒントとコツ」について話しました。

「職場とは、もはや物理的な場所のことではありません。どこにでも職場はあり、あらゆる場所が職場なのです。それは、私たちのライフスタイルや人生の選択に合うように私たちが選んだ働く場所であり、働く方法なのです」と、同氏は述べています。

ロバートソン氏は、デロイトが従来の職場の価値観を考え直すにあたり、個人のストーリーを共有し多様性を称えることは、デロイトが前進するための重要な方法の1つだと述べました。

「猫が画面を通り過ぎてもいいのです。後ろから子供たちが入ってくるのを見るのは素敵なことです。実際、私たちをより良い人間にしてくれます。あなたの人生が垣間見えるのです」と、同氏は話します。

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