「バンキング型トロイの木馬」によるサイバー脅威が増大

背景にはキャッシュレス決済の急増

モスクワのサイバーセキュリティ企業、カスペルスキー社の上席アナリストによると、アジア太平洋(APAC)地域において、バンキング型トロイの木馬によるサイバー脅威が増大しています。今日のデジタル経済でキャッシュレス決済が広範に利用されるようになったことが大きな要因です。

バンキング型トロイの木馬は、最も危険な形態のマルウェアの一つと考えられており、ユーザーの銀行口座から金銭を盗むために使われます。その目的は、オンライン銀行口座の認証情報やワンタイムパスワードにアクセスすること、またはユーザーを操作して、口座所有者の実際のオンラインバンキング取引の制御を乗っ取ることにあります。

東南アジアの被害が甚大

APAC地域でバンキング型トロイの木馬で攻撃された単独ユーザーの数が最大なのはフィリピン(22.6%)であり、その後にバングラデシュ(12.91%)、カンボジア(7.16%)、ベトナム(7.04%)、アフガニスタン(7.02%)が続く、とAPACグローバルリサーチ& アナリシスのチーム長であるヴィタリー・カムルーク氏は語ります。

「新型コロナウイルス感染症の流行によるロックダウンの行動制限で、誰もがオンライン取引に移行することになりました。金融上の脅威に関する過去の数字を分析した結果、APACでは2019年初頭に、すでに別のアウトブレイク、バンキング型トロイの木馬が始まっていたことがわかりました。」

APAC地域は、COVID-19の前から、すでにデジタル決済の採用が急速に進んでおり、中国、日本、韓国、インドなどの比較的先進的な地域がその動向を牽引していました。

「今回のパンデミックは、特に東南アジアや南アジアの新興経済国で、このテクノロジーを急速に拡大させました」

途上国で拡大する攻撃

カムルーク氏は、「オンライン決済の使用が拡大しているにもかかわらず、消費者が自分の機器の保護機能を向上させる意識が低いという現状こそ、バンキング型トロイの木馬がホームユーザーに対して最も影響力を持つマルウェアになっている原因です」との見解を示しました。

過去のデータの分析によれば、APACの中で最もデジタル決済が進んでいた韓国は、2011年から2012年の間にバンキング型トロイの木馬による大量の攻撃を受けていましたが、同国が経験した攻撃の数は2013年を境に大幅な減少に転じ、現在では、この種類のマルウェアの攻撃を受けることが最も少ない国になっています。

この地域の他の先進国も同様にこうした攻撃はあまり見られず、途上国が依然としてターゲットになっています。

依然として大きな脅威

「APAC諸国はバンキング型トロイの木馬が2019年に複数の国で一斉に同時感染するまで、それほど大きな懸念を抱いていませんでしたが、その後は、大きく様変わりしました」カムルーク氏はそう話し、次のような見通しを示しました。

「測定では、この悪意のある脅威は、検出数と送信数の両方において増大しています。デジタル決済の領域に足を踏み入れるユーザーや新興企業が増え続けるのに伴い、今後もそれが金融組織と個人の両方に対して大きな脅威を与え続けるだろうと考えています」


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