「驚くべき適応力」-世界はいかにして在宅勤務に適応したか

在宅勤務はさほど新しい概念ではありませんが、今年主流になったことは確かです。事実、ロイ·モーガンが6月に発表した調査では、400万人以上のオーストラリア人がウイルス感染拡大を防ぐために在宅勤務していると報告されています。

従業員はこの「9時から5時まで」の新バージョンによく適応しているでしょうか、それとも従業員とその雇用主は新たな課題に直面しているでしょうか。

このアイデアを、トムソン・ロイター法務メディアグループのマネージングエディターであるラナジット・ダムと4人のゲストスピーカーが、先日開催されたReturn to Betterバーチャルコンファレンスセッションで検討しました。

4人のソートリーダーが招かれ、コロナ禍の中で自らの組織が、効率性、安全性、社内の士気の点で成功している理由の洞察と意見を共有しました。ラナジットが迎えたのは以下の方々です。

  • リソルブ・ディスピューツ・オンライン共同創業者、ジョー・アル・カヤット氏
  • アレンズ知識責任者、ジャスティン・ウッドフォード氏
  • マイクロソフト、アジア太平洋研究開発グループ法務担当GM、アシスタント・ゼネラル・カウンシル、ケビン・ルオ氏
  • コクレア、グループ税務マネージャー、レベッカ・ロバーツ氏

ディスカッションでは、パネリスト自身がどのように在宅勤務に適応してきたか、バーチャル勤務のベストプラクティスは何か、現在の状況下で雇用主が従業員をどのように支援しているか、という3つのカギとなる質問について取り上げられました。

このプログラムで得られた洞察とアイデアを基に以下の記事を編集しました。組織のレジリエンスを(離れた場所からでも)維持するためのヒントとコツをご紹介します。

最初のステップとリモートワークの驚き

レベッカ・ロバーツ氏は、在宅勤務は初めてではありません。以前は週1日の在宅勤務が可能な勤務形態だったためです。しかし新型コロナウイルスの感染が拡大すると、ホームオフィスがチームを指揮する場所になると気付くのに時間はかかりませんでした。

彼女がこの新しい働き方にどのように適応したかという点においては、つながりを保つことが不可欠でした。

「私がこの状況に適応するには、毎日チームに電話をかけられること、オフィスでやっていたことをほぼ再現できることが、最も重要なことの1つだと分かりました。そのため、チェックインしてみんなの様子を見るだけの簡単なチャットでも、離れていながらそのような仕事とのつながりを感じることができました。」

ケビン・ルオ氏はこの見解に同意した上で、自らの組織の適応には組織構成の維持も大きな役割を果たした、と付け加えました。 

フルタイムの在宅勤務はまったく異なる経験で、特に長時間の在宅勤務はかなりストレスがかかることがあります。私たちは、時間と組織構成の面で制限を設け、また、バーチャルでチームとの定期的なつながりを維持しようとしました。

– マイクロソフト、アジア太平洋研究開発グループ法務担当GM、アシスタント・ゼネラル・カウンシル、ケビン・ルオ氏

一方、ジャスティン・ウッドフォード氏はこの適応を組織内の「シームレスな移行」と表現しましたが、自宅で快適に仕事ができることの斬新さはそれ以来薄れてきたといいます。

同氏は、インターネット接続の悪さや騒音などの小さな邪魔によって、物理的なオフィスにいる場合に比べて従業員が能力を最大限に発揮できないことがよくあると述べました。 

それでもウッドフォード氏は、様々な組織が快適にギアを切り替え、前向きな見通しを維持していることに驚いたと述べます。

私のチームや会社だけでなく、様々な組織の人々が、驚くほどの適応力を示し、これを挑戦と見なして、とても前向きな考え方で取り組んできたと思います。

– アレンズ知識責任者、ジャスティン・ウッドフォード氏

つながりのギャップを埋めるツール

この時期に活用されているテクノロジーは、組織内で孤独感や孤立感を抑えるのに役立ってきたと言えます。しかし、チーム内のコラボレーションを促進するための素晴らしい手段にもなり得ます。

例えばアル・カヤット氏は、バーチャル会議とプロジェクトプランナーソフトウェアが、組織内のコミュニケーションを維持する上で極めて大きな役割を果たしていると述べました。

「今では、文字通りあらゆるもののためのツールがあります。自分の業界にぴったりのコラボレーションツールを見つけたいなら、それを見つけることができます。」

しかし、これらのツールは元々、雇用主が定期的かつシームレスに従業員の様子を確認するために設計されたものかもしれませんが、金曜日に飲み会を開いたり、ロバーツ氏の場合は送別会を開いたりと、通常と異なる目的に使用することもできます。

「先日バーチャル送別会を開き、私たちは幸運にも今はオフィスに戻りつつありますので、数人の人がオフィスにいることができました。退職する人は、皆がノートパソコンをシャットダウンしてさよならを言っているだけのようには感じなかったようです。」

「併用することは良いことでしたので、私たちはこのテクノロジーを、おそらくこれまで経験したことのないあらゆる種類のことに使っています。」

ビデオ会議ツールも昔ながらの電子メールに終止符を打とうとしているのかもしれませんが、雇用者が 「対面で」重要な会話をすることも可能にしています。

直接顔を合わせて行いたい会話があるので、そのようなときはビデオ通話が一番です。コーチングの会話、目標の設定、フィードバックなどが画面に表示されるようにしています。

– コクレア、グループ税務マネージャー、レベッカ・ロバーツ氏

文書管理や電子署名ソフトウェアなど、その他のテクノロジーツールも、パネリストの間で推奨されました。

曖昧になる仕事と家庭の境界線

パジャマで仕事をすることからキッチンでの昼食の支度まで、在宅勤務に特典があることは周知の事実です。しかし、組織が直面する隠れた課題の1つは、仕事と家庭の境界線をどこに引くか、つまり、ジョー・アル・カヤット氏が言うところの 「移行時間」です。

その(過去の)通勤時間が、30分であれ45分以上であれ、その日に起きたことを脳が整理できる時間であることに気づきませんでした。

-リソルブ・ディスピューツ・オンライン共同創業者、ジョー・アル・カヤット氏

「一方現在では、ウェブカメラがオフになるとリビングルームに行き、頼りになるパートナーや親など、状況に応じた役回りにそのまま移行することが期待される、ということになりがちです。」 

これに対処するために、ルオ氏とウッドフォード氏はそれぞれ、組織がこうした境界線を定める方法について、独自のヒントと洞察を出し合いました。

ルオ氏は、自身の組織は画面の前で過ごす時間を制限する枠組みを導入したと説明しました。これには、土曜日、昼休み、午後5時30分以降に電話会議をしないことや、日中の業務から心身ともに 「スイッチを切る」ことをチームに思い出させることなどがあります。

ロバーツ氏は、その週の仕事の終わりを象徴的に示すために、金曜日の午後に仕事用のノートパソコンをバッグに物理的にしまっておくようにしている、と付け加えました。

継続的な従業員支援

コロナ禍の収束の気配がないことから、リーダーにはチームが必要とする継続的なサポートを確実に受けられるようにする責任があります。

アレンズの新型コロナウイルス委員会のメンバーであるウッドフォード氏は、最新の動向を常に把握しておくことが、チームメンバーを支援する重要な方法の1つだと述べます。同氏は、適切なリスク管理文書をすぐ使えるようにしておくことで、組織はビジネスの管理方法について、好スタートを切ることができると説明しています。

「私たちの主要な役割は、組織の人々の職場での安全を確保できるように、オーストラリア国内外の新型コロナウイルスの状況を監視することでした。」

「[私たちは]彼らに対して仕事と福祉のためのサポートを提供しており、また、ビジネスへの潜在的・顕在的な悪影響を抑えるよう努めています。」

アル・カヤット氏の組織で得られたもう1つの洞察は、従業員のメンタルヘルスを支援することでした。従業員が仕事関連のストレスやその他の不安感を管理するのに役立つ瞑想アプリにアクセスできるというものです。

アル・カヤット氏の指摘によると、同氏の組織はこの支援を強化するための他者の提案や意見に対しても非常にオープンです。

もしほかにアイデアを持っている人がいたら、私たちはいつでもそれを歓迎しますし、最終的にはそれが進むべき道だと思います。私たちは、新しい関係を築くための最良の方法を繰り返し考え続けなければなりません。

– リソルブ・ディスピューツ・オンライン共同創業者、ジョー・アル・カヤット氏

ロバーツ氏のケースでは、組織内で支えになったと感じた方法として、リーダーと従業員の定期的なコミュニケーションや様々なケアパッケージなどがありました。

「私たちは、レジリエンス構築に関するLinkedInの学習やTEDトークへのリンクがありましたが、すでに持っているスキルも活用していました。当社のCEOは現在、いわゆる『タウンホール』を行っています。そこでは、人々がこれまでより多くのビジネスの最新情報を定期的に直接得ており、私たちはそうしてつながりを感じていると思います。」

最後のヒントと思考

世界中の組織がこの新しい働き方に適応しようとしている現在、従業員が忘れがちかもしれない懸念の1つは、サイバーセキュリティに関する予防策を講じることです。

組織データや顧客データを保護し、プライバシーを維持することは重要です。したがって、大規模または中規模の組織にいる場合、最も重要なことは、組織内のガイダンスとコンプライアンスに従うことです。

– マイクロソフト、アジア太平洋研究開発グループ法務担当GM、アシスタント・ゼネラル・カウンシル、ケビン・ルオ氏

「また、電子メールサービスとビデオ会議の提供に関して、信頼できるサービスプロバイダを利用することも非常に重要です。」

ルオ氏はまた、フィッシングメールや、開くと警告が表示されるメールに注意することの重要性についても簡単に言及しました。コンファレンスを締めくくるにあたり、パネリストのうち3人が、コロナ禍が終息した後も実践し続けようと考えていることを1つずつ挙げました。「私の場合、同じレベルのインクルージブネスとコミュニケーションを維持しようと思います」と、ロバーツ氏は述べています。

「ビジネスマナーです。私たちは、物理的にオフィスにいる普段のときよりも、(バーチャル)会議に時間通りに出席することに気づきました」と、ウッドフォード氏は言います。

「私たちは、人々がオフィスに戻ってくることを期待していません。週に5日、自宅で働きたいと思っているなら、それでまったく問題ありません。人々が幸せで生産的である限り、それが最終的な目標です」と、アル・カヤット氏は締めくくりました。

Return to Betterバーチャルコンファレンスを開始するにあたり、トムソン・ロイターのアジアおよび新興市場のマネージングディレクターであるジャッキー・ロードスが、トムソン・ロイター社長兼CEOスティーブ・ハスカーと、グローバル組織と地域的組織の今後について語り合いました。

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